5GでYouTube市場はどのように変化する?【動画とビジネスの関係】

日本でも高い知名度を誇る「YouTube」。パソコン以外のテレビやスマートフォン端末がインターネットに接続できるようになったことから、今では地上波番組をみるよりYouTubeを見る時間が長いという人も多いのではないでしょうか。

2020年3月末には5Gの提供が日本でも始まり、動画コンテンツにも大きな変化が起こると推測されます。5Gの活用によって、YouTubeがどう変わっていくのか探っていきましょう。

YouTube市場の現状とは

YouTubeでは、毎月20億人以上のユーザーがYouTubeを利用していると発表。この数字は全インターネット人口の3分の1にあたります。日本でのYouTube利用数を見てみると18~44歳までのYouTube利用者数は3,300万人となっており、日本内外を問わず、超大型級の動画プラットフォームと言えそうです。

さらにGoogleの発表によれば、YouTube内で知った商品を、実際に購入したことがある人は40%とYouTubeはマーケティング市場としても注目されています。

(参考:「広告ガイドブック」YouTube

動画サービス全体の市場は?

日本でも、動画広告市場は目覚ましい成長を続けています。サイバーエージェントが2018年8月~10月に行った調査によると、2018年の国内動画広告市場は過去最高の約1,843億円に。実に前年比+134%の成長を記録しました。今後も、オンラインメディアにおける動画フォーマットの拡大や動画専門メディアの普及などを背景に、動画広告市場は急速な成長を続ける見込みで、その市場規模は2019年には2,312億円、2020年には2,900億円、2024年には、なんと4,957億円に達する見込みです。

5GがYouTubeにもたらす好影響

次世代高速通信と呼ばれる5Gは超高速・超低遅延・多数同時接続というメリットから、世界のICTを大きく変えていく期待がもたらされている技術です。YouTubeもこれまでよりも進化し、市場拡大していくでしょう。

高速・大容量通信が可能に

4Gと比較し5Gでは通信速度が100倍になり、2時間かかっていた動画のダウンロードが3秒で完了する超高速通信を実現しています。5Gの普及が進めば世界の映像コンテンツは大きく変化するでしょう。

2019年に開催された日本の「フジロックフェスティバル」はYouTubeで生配信され大きな話題に。5Gの普及が進めば、複数台のカメラでライブ中継を行ない、視聴者はボーカルだけの映像や、控室の映像など自分の見たい映像だけを楽しむことが出来るでしょう。

視聴者が増える可能性も

テレビがインターネットに接続できるようになったことで、家庭への浸透が進んだYouTube。今ではHowto系の動画やスポーツ動画など、どんな年代であっても楽しめる独自コンテンツが増えています。5Gの普及によってIoT機器が増えれば、1に1台IoT端末で好きなYouTubeチャンネルを視聴するケースも出てくるかもしれません。

また情報通信白書によると、平成28年度のYouTube等の動画共有サービスの利用率は50代で70%以上、60代で約60%と割合は高く、今後スマートフォンを所有するシニア層が増えれば、YouTubeの視聴者も増えていくでしょう。
(参考:“ネット動画視聴の広まり”総務省HP

ビジネスとしての活用が増える

インターネット広告費がテレビ広告費を抜いたことからも、今後ともインターネット広告市場は盛り上がっていくでしょう。

YouTubeを見てみても動画の前後や途中に広告が流れます。CA Young Labによれば2017年日本でのYoutubeの広告費は約139億円ですが、2022年には334億円になると予想しており、Youtubeの広告市場の伸び率を感じます。Youtubeの収入はそれだけではありません。

「タイアップ広告収入」、「イベント・グッズ収入」を合わせれば2017年の収益は約219億円、2022年には579億円に到達すると見込まれており、Youtubeが広告ビジネスの場になっているのです。

(参考:国内YouTuber市場規模推計)

遠隔でのやり取りが可能に

YouTubeの人気コンテンツの1つ「ゲーム実況」。

ゲームとYouTubeの相性は非常によく、自分がプレイしているような感覚になるだけでなく、プロゲーマーの配信を視聴できるということもあり、毎月約2億人がゲーム実況動画を視聴しています。

5Gが普及すれば、遠く離れた友人とオンラインゲーム実況が出来たり、そのゲーム実況を視聴者がリアルタイムで視聴することもできるでしょう。

ゲームストリーミングサービスを後押し

Google社は、ゲームストリーミングサービス「STADIA(ステイディア)」を発表。

ステイディアは、従来ゲームをするには置き型ゲーム機が必要という常識を壊し、ゲーム機なし、ダウンロードなしで、パソコン・スマートフォン・タブレット・テレビなどの端末さえあればゲームができるというサービスです。

1秒のタイムラグがストレスになるゲームでは、5Gの超高速・超低遅延・多数同時接続のメリットを大きく感じられるでしょう。

5G時代のビジネスとしてのYouTube活用術

2020年で15年周年を迎えるYouTube。アメリカを中心に市場は広まり、今では企業とタイアップして商品をPRするYouTuberがいたり、ビジネス系YouTuberと呼ばれる専門知識の高い動画も増えています。

このことからもYouTubeは、視聴者が知りたい情報を能動的に取得する場として、テレビとは異なるコンテンツとなっています。こちらでは5G時代のYouTube活用法をみていきましょう。

YouTube上でのブランディング

YouTubeでのブランディングが注目を集める理由は、拡散力と視聴者数でしょう。YouTube内でチャンネルを作り動画を投稿すれば、月間10億人のユーザーに商品をPRできるチャンスになります。YouTubeのチャンネル登録者数は、ファンの数に近い数字。ファンがいればいるほど売上に繋がる可能性も上がりますから、企業は積極的にYouTubeを活用していくべきでしょう。

インタラクティブなやり取り

YouTubeにおける問題点の1つに「離脱率」があります。

視聴者はサムネイルとタイトルをみて動画を再生しますが、見たいコンテンツとマッチしていなければ別の動画へ飛んでしまいます。動画のダイジェストを冒頭部分に設置するのは、離脱率を下げるためです。

5G普及後のYouTube動画では、目次を設置することで視聴者が見たい動画の見たい部分だけ再生することが可能。配信者も、視聴者がどんな情報を得に動画を見ているのか調査することが出来ます。

YouTubeへの広告出稿

YouTubeの収益は広告費が中心であり、それだけYouTubeには広告効果が高いことの裏付けとなっています。

YouTubeの広告はユーザーの「地域・性別・年齢・時間帯・検索するコンテンツ」等などを設定できるので、ターゲットを絞った広告を配信可能。動画内にサイトリンクを埋め込めるので、商品の購買率も上昇するでしょう。企業も動画閲覧数・クリック率・購入率を調査できるため、その広告が有益かどうかを判断できます。

まとめ

5Gの登場によって、あらゆるものがインターネットに接続される2020年代では、インターネット動画はさらに大きな市場になる見通しです。なかでもYouTubeは動画視聴サービスの中でも圧倒的なブランド力を持つ存在。いつでもどこでも高画質映像や、高速通信が行なわれれば、YouTubeの価値はより高くなってくでしょう。

人気YouTubeチャンネルになるためは、魅力的なブランディングが大切です。YouTube利用者が増えている今だからこそ、どんなターゲットに、何のために動画を届けるかをイメージし、企業のファンを増やして行きたいですね。