最新ワイヤレス充電「Wi-Charge」とは?部屋に入るだけで充電可能

スマホの充電がなくなった人

コンセントの周りがケーブルだらけになるのは仕方ないと考えてはいませんか?スマホの充電は、ケーブル接続が当たり前という時代が変わろうとしています。

最近ではパット型のワイヤレス充電が登場していますよね。今後は「置くだけ充電」が進化し「部屋に入るだけ充電」の登場に期待が集まっています。

 

そこで今回は「そもそもワイヤレス充電とはなにか」といった基本的な疑問や、ワイヤレス充電の今後の展望について解説していきます。

 

そもそもワイヤレス充電とは?

「ワイヤレス充電」は、従来の様にケーブルをスマホに繋がなくても充電できる技術のことです。家電量販店に行くと、ワイヤレス充電コーナーが設置されて、パット型や立てかけ型など豊富な種類が販売されているのを目にした方もいらっしゃるでしょう。

 

今後はあらゆる機器への送電がワイヤレスになっていく見込みのため、ワイヤレス充電の基礎知識を以下でご紹介していきます。

 

ワイヤレス充電の種類

ワイヤレス充電では主に「電磁誘導方式」「磁気共鳴方式」「マイクロ波方式」の3つの種類があります。それぞれの特徴と、利用方法についてチェックしていきましょう。

 

種類 特徴 主な利用例
電磁誘導方式 ~数cm程度まで高効率安定して電力を送ることができる。 交通系ICカードやコードレス電話などで使われている。
磁気共鳴方式 ~数m先まで電力を送ることができる。 駐車中の電気自動車などでの利用が想定されている。普及に向けて研究中。
マイクロ波方式 ~数m先の複数の機器に電力を送ることができる。 複数のIoTデバイスの同時充電、稼働中のドローンや無人飛行機、宇宙太陽光発電所などでの利用を想定。

 

スマートフォンで利用されているのは「電磁誘導方式」です。

電磁誘導方式の国際規格では「Qi(チー)」が知られています。Qi規格はiPhoneがワイヤレス充電対応の「iPhone8」を販売したことで一気に普及しました。iPhoneだけでなくAndroid端末や、充電式イヤホンなど、Qiに対応した端末であればメーカーを問わず、充電できる仕組みとなっています。

 

ワイヤレス充電の仕組み

ワイヤレス充電には「電磁誘導の原理」が応用されています。電磁誘導の原理とは、磁界の変化によって電流が流れる現象。電磁誘導によって生まれた電流を「誘導電流」と言います。

 

この誘導電流をスマホのバッテリーに蓄えるのがワイヤレス充電となります。以下でワイヤレス充電が起こる仕組みについて解説していきます。

 

1.充電パットの中には送電用コイルがあります。
2.電気を充電パットに流すと、磁界が発生します。
3.スマホに搭載された受電用コイルを充電パットに近づけます。
4.この時誘導電流が、スマホ側に流れます。
5.誘導電流の電力を、スマホのバッテリーに蓄えます。

 

充電パットとスマホに搭載されたコイルによって、ワイヤレス充電が出来るようになります。

 

ワイヤレス充電のメリット

これまで一般的だったケーブル充電は、端末1つに対してケーブルが一本つくのが当たり前でした。ワイヤレス充電の場合、充電器にもよりますが、1つの充電パットで複数台を同時充電することも可能としています。

これにより、スマートフォン、スマートウォッチ、充電式イヤホンなどを一気に充電することもできる場合があるでしょう。またケーブルの場合、使用年数によって断線してしまう事も。ワイヤレス充電であれば、そもそもケーブルが必要ありませんから、断線の心配もありません。

 

ワイヤレス充電のデメリット

ワイヤレス充電に対応したスマホも増えてきていますが、ワイヤレス充電にはデメリットも存在しています。

現状登場しているワイヤレス充電は、充電パットの中央から外れると、充電できないものがほとんどです。またケーブル充電と比較し、ワイヤレス充電の方が充電速度が遅いこともデメリットとして上げられるでしょう。

 

5Gの普及によってワイヤレス充電も必要性がアップする

ワイヤレス充電は、ケーブルに接続しなくても充電できる新しい充電方法です。しかし今のケーブル充電でもいいのではないかと考える方も少なくないでしょう。

実は2020年3月に提供が始まった「5G」の普及に合わせ、ワイヤレス充電の必要性が高くなってきています。

次世代通信規格5Gは従来の4Gと比較し「超高速・超低遅延・多数同時接続」を実現。5Gが普及すれば、あらゆるモノがインターネットに接続される「IoT化」が進むと言われています。5Gが生活基盤となった2035年には、IoT端末は1兆個を超えると予想されていますから、それだけ充電が必要な機器も増えるはずです。

 

全ての端末にケーブルを繋いでいては、めんどくさいですし、家中がケーブルだらけになってしまいます。そこで今後は、より遠くまで効率よく充電できる「磁気共鳴方式」「マイクロ波方式」でのワイヤレス充電が中心となるでしょう。

 

(参考:ARMカンファレンスの基調講演で孫正義氏がカンブリア爆発について語る PCWatch)

 

ワイヤレス充電の先は「部屋入るだけ」で充電できる?

家のコンセントを見てみると、ケーブルだらけになっている場合もあるでしょう。

 

今後はIoT端末の増加によって、充電が必要な端末が増えますから、今以上にケーブルも必要になっていきます。そこで置くだけ充電を進化させた「部屋に入るだけ充電」が開発されてきているのです。

 

部屋に入るだけで充電できるため、これまでの様に複数の充電ケーブルを用意する必要もありません。また充電のし忘れも防げるので、端末を使う時に充電がされている状態であれば、非常に便利な仕組みと言えるのではないでしょうか。。

 

ドコモが発表したWi-Chargeとは

進化したワイヤレス充電の1つとして部屋に入るだけで充電できる、中・長距離のワイヤレス充電が開発されてきています。NTTドコモが開催した「DOCOMO Open House 2020」では、次世代ワイヤレス充電として「Wi-Charge」が登場しました。

 

Wi-Chargeは壁のコンセントか電球に差し込むワイヤレス充電器。送電距離は約4mとなっており、赤外線レーザーを用いて、複数の端末を同時に充電可能です。テーブルの上にスマホを置くだけで充電できるため、充電のし忘れをすることはなくなるでしょう。

 

部屋に入るだけ充電「Wi-Charge」の実用化はいつ?

置くだけ充電を超えた「部屋に入るだけ充電」が開発されていますが、実用化はいつになるのでしょうか。残念ながら、現状Wi-Chargeの消費者への販売予定はないと発表されています。赤外線は人や障害物によって遮られやすいため、まだまだ開発余地があるようです。

しかしWi-Chargeのような中・長距離型のワイヤレス充電が実用化されれば、私たち達の暮らしはより豊かになっていくでしょう。

 

まとめ

iPhoneシリーズからワイヤレス充電対応の「iPhone8」が発売されてから早3年。ワイヤレス充電に対応したスマホも増え、「置くだけ充電」という言葉も普及しています。今後はワイヤレス充電が進化し「部屋に入るだけ充電」という言葉が認知されていくかもしれません。

 

5G通信によってあらゆるものがインターネットに繋がる時代では、IoT機器の進化と共に充電機器の進化にも注目していきましょう。