総務省が開催している5G利活用アイディアコンテスト入賞アイディア紹介

2020年にいよいよ日本でも5Gの導入が始まります。5Gにおける変化というのは、下記の記事でも触れていますがさまざまな分野での活躍が期待されています。

5Gとは?導入期の今、次世代通信でどのような変化が予想されるのか

総務省は、5Gの特性を有効活用して、社会課題の解決や地方創生に対するアイディアを2018年10月に募集をかけ、2019年の1月にコンテストの結果発表がありました。今回は、そのコンテストで入選した12の5Gを活用したアイディアをご紹介したいと思います。

総務大臣賞:5Gの特性を活かした高技能工員の労働環境改善・労働安全確保・技術伝承の実現(愛媛大学大学院理工学研究科分散処理システム研究室)

四国の造船業における課題にフォーカスしたこちらの、アイディアが総務大臣賞を受賞しました。

造船業における課題とはなにか、それは高齢化にともなう専門的スキル(クレーン運転等)を持つ作業者の不足と技術の継承です。

【クレーン運転初心者にとっての課題】
・玉掛作業は運転台から作業か所が見えない
・高所のため作業員交代までの時間が長い
・高所運転室は食事・用便に不自由
・強風時への揺れや継続的振動

これらの問題を解決するのが、造船業の高所クレーン作業における5Gを利用するアイディアです。

現在造船作業現場におけるクレーン作業台は高所にあり、作業員しか入ることができません。高所である理由は高いところからクレーン先の運搬物をのぞき込めるようにするものですが、それでも死角が多く見えない部分を経験則で補うものだそうです。

今回の5G活用のアイディアでは、まずこのクレーン作業台を高所から地上におろし、作業自体をすべて5Gの特性である低遅延を活かした遠隔操作で行うようにします。また作業か所に関しては、高画質の動画を5G回線を使って複数個所に設置したカメラから遠隔操作場所に受信できるように設定します。

このアイディアを実現することで
・安全性をたかめて作業を行うことができる
・高齢者でも短時間で作業交代が可能
・用便等などの不安も解消
・初心者がベテラン運転手の技術を直接学べる

といった内容のものになっております。このアイディアのポイントとしては現状における工事現場の課題が明確化されており、かつ5Gの特性をいかした活用法ではないでしょうか。このアイディアは今すぐにでも造船現場だけでなく、高所クレーンを設置している現場には広く使えるのではないでしょうか。

https://5g-contest.jp/contestpdf/shikoku/shikoku.pdf

地域課題解決賞:同時多接続と低遅延が可能とする近未来の雪害対策(永平寺町総合政策課)

こちらのアイディアは、福井県吉田郡永平寺町総合政策課から出されたアイディアですが、雪害被害に対する5G施策となります。雪害被害はもちろんのこと、弊害として

・人海戦術による除雪作業への膨大な経費
・人海戦術の除雪作業のため事故につながる

今回のアイディアは、この除雪作業を5G技術の多同時接続と低遅延技術を活かしたものになります。

まず一つめのアイディアとして

  1. 積雪を観測するセンサーを配置
  2. そのセンサーからデータ情報を5G回線にてエリア別の積雪情報の入手
  3. データからチェーン規制や除雪ルートの設定、注意喚起等

それらのデータをさらにAiをつかって自動対応等ができるように検討しています。

さらに二つ目は低遅延をつかい今まで人海戦術にて除雪作業を行っていたものを自動運転技術を使った除雪車の稼働とドローンを活用した屋根の雪下ろし作業等をするものです。

このアイディアは、町全体を接続させるまさにスマートシティのアイディアとして是非とも早期実現を進めてほしいところです。

https://5g-contest.jp/contestpdf/hokuriku/hokuriku.pdf

5G特性活用賞:山岳登山者見守りシステムにおける登山者発見・空間共有機能の実現(不破 泰)

こちらのアイディアは、山岳登山者のセキュリティ強化のため5Gを活用するものでした。

山岳登山ブームにより平成29年までの間に登山での死亡・行方不明者の数が増えてきているそうです。

このような事故を減らすために、今回GPS機能をもつ端末を持たせ登山者の位置情報を常に把握するというものです。

もし遭難やルートをはずれたものがいれば、状況をドローンにて確認し、必要に応じて救助隊がその情報をもとに救出するという導入アイディアです。

このアイディアで鍵となるのは、広く障害物の多い山の中で電波を拾えるようにするのかというものですが、それはLPWAと5Gの回線で対応するというものです。

https://5g-contest.jp/contestpdf/shinetsu/shinetsu.pdf

審査員特別賞:新しい一体感をもたらす5Gスポーツ観戦(久保 竜樹)

こちらは産業・経済分野にだされている新しい形のスポーツ観戦方法の一つとして5Gの利用アイディアとなります。

すでに5Gを使ったスポーツ観戦はAuなどでも実証実験が進んでいる分野ですが、こちらのアイディアはもっと競技者と観戦者が一体となれるような提案をしています。

auの5Gは2020年3月からサービス開始なのか?取り組んでいる5Gの実証実験とは

こちらのアイディアのポイントはウェアラブルディバイスを使うという点です。これにより人の熱量や感情、心拍数などをデータ化し情報を5G回線につかって集約し場内の盛り上がりを数値化できるところや、競技者の心拍数をディバイスを通じて観戦者が体感できるのも面白い視点ではないでしょうか。

https://5g-contest.jp/contestpdf/kinki/kinki.pdf

 

まとめ

いかがでしたでしょうか、今回総務省のアイディアコンテストに入賞されたアイディアをご紹介させていただきました。大学研究室から企業、そして個人まで幅広く5Gの提案をしてくれています。その提案の幅や解決したいという点は違いますが、いずれも共通していることは5G技術でこれらアイディアのように解決できる問題は多く存在していることに気づかされます。そして、