総務省が掲げる2020年までの5G構想の中身を徹底解剖【ー分野別5G未来構想と移行方法ー】

前回の総務省が掲げる2020年までの5G構想の中身の続きになります。前回の記事を読まれていない方はこちらからご覧ください。

5Gのサービス分野別イメージ

総務省は、今回の2020年までの導入の構想の中に、どのような形で社会に実装していくかのイメージを提示していますので早速見ていきたいと思います。

5Gにおける自動車分野

高齢者などにおける交通事故の多発や過疎化地域におけるバス運行数の減少などの問題を解決してくれる自動運転自動車の開発ですが、この自動運転に欠かせないのがこの5Gの超低遅延です。

まず今回の総務省の資料では自動運転をスタートするうえで、重要になってくる情報・データを4つの層にわけて紹介しています。

  1. 静的情報
  2. 准静的情報
  3. 准動的情報
  4. 動的情報

1.の静的情報、つまり動かない情報・データは地図データやバスの乗員の行動履歴のことをさします。

2.の准静的情報とは、多少流動的ではなりますが渋滞・規制・工事・障害物などの情報から信号機サイクルなど、自動運転における先読みの部分のデータをさします。

3.の准動的情報とは、周辺を走る車両や歩行者、信号機の色の情報などリアルタイムで自動走行中に周りにあるモノの存在情報をさします。

4.の動的情報とは、周辺車両や、歩行者、そして障害物回避といった動きに関する情報をさします。

これらの情報に関してはそれぞれの情報自体が発信することができるITS(Intelligent  Transport System)社会インフラと、データを受信し合う車同士がV2V(Vehicle-to-Vehicle)での性能要件を満足できれば実現可能となる。

5Gのセキュリティ(安全・安心分野)

高密度、広域に配置された高精細映像(4Kなど)とAIを活用することで、従来捉えることができなかった映像などを超高速・大容量通信の5Gで捉え安全・安心を高めていこうというものです。

また多数同時接続が可能になることと、大容量データの送受信が可能になることで今まで有線などで行っていたものもすべて無線で行いながら4Kカメラを使って大量の防犯カメラとの接続も可能となります。

5Gにおける建設分野

極端な近未来的な話になるかもしれませんが、5Gの特徴すべてを利用して建設現場は無人で遠隔での業務がほぼ可能になるというものになります。

具体的には高精細画像による各重機器などの動きや現場の状況を離れた場所にもクラウドサーバーに送信でき、作業者は遠隔から状況を確認することができます。

また遠隔操作においても超低遅延操作による細かな動作を行うことができ、かつ同時に足すの重機の操作も行うことが可能となる未来をイメージしています。

5Gにおけるデジタルコンテンツ分野

デジタルコンテンツの配信は、すでにいろんな場所での実証実験などが行われ値ます。産業向けバーチャルショールームや、ストリートミュージアム、バーチャル教育システムなどを想定しています。

産業向けのバーチャルショールームは、消費者にとって今までなかった購入体験をすることができ、またショールーム側はVRメガネと少し歩き回る2畳ほどのスペースがあるだけで実行可能です。

教育システムへの導入は、実際の現場のようにVR技術で新人に体感してもらいます。言葉でいうよりも実際に経験したもののほうがはるかに理解は高まりますし、なにより教育コストをかけず新人教育を行うことが実現可能になってまいります。

5Gのネットワーク構成

5Gの超高速・超低遅延・多数同時接続等の機能を実現するために、今までLTEが利用したアンテナとは全く互換性のないあらたな無線技術(5G  New Radio(NR))が検討されています。

つまり今まではある程度アンテナを使いまわしてきていた部分がありますが、今回は5G用にあらたなNR対応のアンテナを設置する必要ができてきました。

しかし全てのものを同時に変更するのではなく、LTE用のアンテナとNR用のアンテナ両方を平行して利用するNSA(Non-Standalone)方式で利用していくことを検討しているようです。

4Gから5Gへの移行について

総務省の資料からすると、コストを抑えつつスムーズは5Gの導入を目指すため、互換性のない4Gと5Gのアンテナをまずは並行して利用してくNSA方式をすすめています。

このNAS方式のスタート、つまり5Gの導入時は2020という形で設定しており、この時のコアネットワークはあくまでも4GのEPCを利用していきます。そして需要の高い場所・エリアから順番にNRのアンテナを増やしていくようです。

最終的な期日はこの資料の中では明記していませんが、202x年としているところから10年以内にはコアネットワークを5Gに移し、NRのみを利用したSA方式に切り替わりつつもLTEの基地局にあるアンテナは現在までに広く利用されていることから引き続きサービスを提供していくよう。

まとめ

超高速・超低遅延・多同時接続ができる5Gだからこそ、今までになかった新しい分野といえる建設業をはじめ、自動車分野、セキュリティ分野、そしてコンテンツエンターテイメント分野での活用や期待されています。

一方で4Gから5Gに切り替わるにあたり、5Gの機能のため4Gが利用しているアンテナは利用できないというデメリットもある意味生じてきています。この部分を並行移行という形でアンテナの整備を全体的にすすめていくようです。