総務省が掲げる2020年までの5G構想の中身を徹底解剖【ー5G背景・概念そして未来構想ー】

5Gを日本にて普及させていくための総務省の計画である「2020年の5G実現にむけた取り組み」というものが2018年12月18日に総務省の総合通信基盤局電波部移動通信課より発表されています。今回はこの中身について、徹底的に読み解いていきたいとおもいます。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000593247.pdf

携帯電話等契約数の推移と移動通信トラヒックの増加

資料の冒頭では、今までの携帯電話の契約数、トラヒック数の増加数をグラフで表されていますが、このグラフからみると2017年時点ですでに日本の人口である1億6千万をすでにこえる携帯電話等の契約数がされていることがわかります。

さらにトラヒック、つまり通信されているデータ量は表示されるグラフを確認すると実に1年で1.6倍となっていることが見て取れます。

この移動通信における端末数の増加とデータ量の増加を比較することで、5G回線という大量のデータ更新をすることができる周波数帯の利用が急務であることがわかります。

移動通信システムの進化について

グラフでも見てわかる通り、日本における移動通信システムの最大通信速度は30年間で約10万倍にも伸びてきていることがわかります。

ネットの普及に合わせてその他のWebサービスやアプリケーション、映像技術などが進化・普及してきたため、必要となる通信データ量もそれにつれて増えてきています。

2020年は目の前ですが、そこからさらに10年後は5Gのスピードが当たり前になってきているのは疑いようがありません。

5Gとは何か

5Gとは下記の記事でも詳しく触れていますが、総務省の資料から説明すると3つの主な要求条件を満たすものが5Gであるとしています。

  • 超高速:最大10Gbps
  • 多数同時接続:100万台/k㎡接続数
  • 超低遅延:1ミリ秒程度

単純に超高速であるというだけでなく、今回は多数接続・超低速といった新たな機能を持つ次世代の移動通信としており、様々なシーンでの5G利用による発展を想定しています。

5Gの基本コンセプト①

総務省は、3つの5Gの特徴を軸に様々な利用シナリオを想定しています。例えば3Dビデオや4K再生なども可能なUHDスクリーンなどを超高速でめざしています。

また超低遅延における領域では、工場のオートメーション化・自動運転自動車などへの利用を想定していまうす。

さらに多数同時接続ではスマートハウスなどももちろん想定ではありますが、より広いくくりの市そのものがスマートシティとして活動するモデルを想定しています。

5Gの基本コンセプト②

さらに今回のコンセプトの一つとしてB2B2Xのモデルが検討されています。これは、今まで移動通信業界におけるビジネスモデルの変革の一つでもあるといえます。

今までの4GなどはB2Xという形で通信サービスのみを利用者であるユーザー(個人・企業)などに提供しているモノでした。

しかし、今回の技術革新により移動通信業界におけるビジネスモデルがBtoBtoZとして利用される形を想定しています。例えば、自動車企業などにおいては5Gの超低遅延サービスを利用しての自動運転車のサービス提供をパートナーとして一緒に提供していくというものです。

IoT・5G時代の産業構造の変化

先ほども触れましたが、移動通信業界における他産業における共同事業などといったビジネス領域の共有というものはほとんどありませんでした。

しかし今回の5G時代・IoT時代をむかえることにより、主にグラフで上げている産業が大きく今後コンセプトでも上げたB2B2Zのモデルの中間であるBとなりえるとして想定しているようです。

  • 自動車分野
  • 産業機器分野
  • ホームセキュリティ分野
  • スマートメーター分野
  • その他IoT分野

5Gのサービスイメージ・社会実装

次に実際5Gが利用されるようになった場合、社会でどのように実装されていくのか問う点がこの部分で説明されています。まずは下記の3つです。

  1. VR・AR観光
  2. 労働力不足の解消と生産性の向上
  3. 自動車分野への活用

VR・AR観光では、今VRなどで利用しているメガネなどをよりシンプルにスマートに軽量化しつつ、実際の町を歩いているなかで各店舗におけるアイコン等が店舗などに設置されたセンサーと連携し、それぞれの店舗の情報などをリアルで体験していくことができるようなイメージです。

労働や自動車に関する分野においては、過疎化地域における自動運転によるバス運行などを想定し人の流れを滞らすことなく地域の労働力不足を補う役目を果たしたり、また遠隔のエキスパートとのリアルタイムでの情報共有や教育などを行うことで生産性のアップを図るイメージです。

まとめ

総務省が掲げる取り組みの冒頭部分を紹介させていただきました。5Gに移行していくのは、テクノロジーがすさまじい勢いで発展してきており、情報量が多くなってきている今の時代にとって重要なインフラをと整えるという点であるように感じます。

さらに、5Gを現代におけるさまざまな問題解決をするための一つとするために、総務省は5Gの使い方・シーンを細かく2020年実現に向けての取り組みに盛り込んでいるようです。

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