過疎化地域などの少子高齢化からみる社会課題に対する5Gが生み出す可能性とは?

日本では急速に高齢化が進んでいます。更にこの状況が進むと、『無子高齢化』の社会になりかねないという見方もあります。特にこのような問題は、過疎化地域で深刻な問題となってきています。事実人手不足で黒字倒産をしてしまう飲食店も地方にでてきはじめました。こうした社会問題を最新技術が解決できるとすれば、どのような方法があるのでしょうか? 実はこの課題に対しての問題解決を5Gで実現可能になるかもしれません。

今回は少子高齢化から見た社会問題と5Gの関わりについて紹介していきたいと思います。

5Gは社会問題にどのような影響を与えるのか

日本では少子高齢化をはじめとした、過疎化、地域格差などが社会問題としてあげられます。特に、最近のニュースでは高齢ドライバーの事故や、高齢者同士の介護なども取り上げられており、高齢化問題は深刻化してきています。

そもそも田舎で5Gは利用できるのか?

ドコモの発表では、まず2020年は大都市などの大容量、高速通信を最も必要とするエリアからの導入を考えており、その後は地域創生に貢献するため、田舎や郊外での導入を考慮する動きを示しています。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000633133.pdf

しかし、実は5Gには、ミリ波(28GHz)という高い周波数帯を使っていることで届く距離が短いという問題があります。おまけに直進性が強いので回り込めないために、田舎では山にさえぎられる可能性が高くなります。

まずこの問題を解決するに、いまの4Gの基地局よりもずっときめ細かい5G基地局を設置しなければなりません。ドコモなどの携帯キャリアは、現行の4Gの基地局網につなぐかたちで新しい近距離の5G網を重ねる「スモールセル」と呼ばれる小型基地局を導入しようとしています。

さらにキャリアの5G通信で影響範囲をまかなうことが出来なければ『ローカル5G』の導入も検討材料になります。いずれにせよ、田舎での5G利用はインフラ整備が大きな課題となってくることは間違いありません。

交通インフラと高齢化社会について

国内の交通事故発生数は2018年は約43万件(前年比-8.8%)、2019年は約38万件(前年比-11.5%)と、減少傾向にありますが、そのうちの約20%が高齢者(75歳以上)の事故だといいます。また、都市圏への一極集中に伴い、田舎の人口減少とともに、徒歩圏内で利用できる施設の数も減少傾向にあります。

総務省の調査によると、食料品の購入や飲食に不便を感じる「買い物弱者」は2010年の644万人から、25年には814万人まで増加すると推計されており、高齢者を中心とした、買い物弱者を効率的に支える公共サービスが今後ますます求められていくと予想されます。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000496982.pdf

例えば、遠隔操作が可能な5Gは、スーパーや病院などの公共施設へのアクセスを無人自動運転車で行うことができるようになります。車の呼び出しもスマートフォンのワンタッチでできるようになるなど、操作の難しい高齢者にとって簡単に作業を行うことができるのもポイントです。また、無人運転に伴って安全の確保や情報伝達には、多数の端末と接続し、低遅延に処理・伝達できる5Gの通信技術が重要となってきます。

過疎化の原因である観光材の周知と防災の強化が可能な5G通信

地方における高齢化の原因としてあげられることとして地域格差の問題があります。それは地域における働く場所が減少してきているということや、地域の防災対策事情などが間接的な原因といわれています。しかし、このような問題も5Gによって解決できるかもしれないという糸口が見え隠れしてきています。

地域観光地のプロポーションがより充実する5G通信

まだ知られていない土地にも観光地となり得る場所は沢山あります。しかし、それが外に知られておらず、過疎化が進んでいる地域もあるのです。つまり観光材のマーケティングができてないことが理由です。そのようなまだ首都圏に届けることが出来ていない地方の魅力を、5Gが届けることができます。

会津若松市では、冬の風物詩「会津絵ろうそくまつり−ゆきほたる−」の天守閣 から見た眺望を、離れた場所において臨場感豊かな8K映像で紹介しました。その結果、観光客の興味をかきたて、集客効果を発揮したとあります。その際の大容量の高精細映像つまり超高解像度の映像を送信するために5Gが利用され、リアルタイムを遠方に伝えるられました。

このように今後もドローンなどを並行して5G回線を通じた地方映像の発信などをすることにより、うまく地方の魅力を伝えることで観光地への集客を促すことが可能になってきます。

5G通信を利用した防災・減災への活用

過疎化が進む地域においては慢性的な人手不足があり、結果として急な災害における対策などに対してもすぐに対応することができないことがあります。そのような生活における不安などからも人が過疎化地域を離れていく原因にもなっています。

例えば震災や津波などの被害があった際、いち早く効果的な避難指示や災害対応をすることが重要ですが、その対応をする人が近くにいなければなりませんし人の行方不明などにたいしても同様に人手をさかなくてはなりません。

しかしながら大量の映像・画像を多地点機関においてリアルタイムに共有するには、光回線をはじめとした4G回線では十分な通信速度が得ることができません。

5Gは低遅延かつ大容量、多接続の特徴をもつため街の中に5G対応をした高精細な映像センサーや、ドローン、カメラ等多数の機器からの情報をリアルタイムに共有することで、よりスピーディーな災害対策を行うことができます。

まとめ

地方はインフラ老朽化問題などもあり、すぐに様々な社会問題を解決をするのは難しいかもしれません。そもそもIT・5Gに理解・リテラシーのない高齢者への5Gを活用した商品やサービスなどのセミナーや講習会などは開かれるのかという点です。さらに観光地化することで人材の配置はどうなるのかといった問題もあらたに生まれてきます。

しかし確実に、5G通信技術は過疎化・高齢化が進む地域において再発展・継続的発展をすることができる可能性をみせてくれています。それは5G回線による自動運転の技術躍進そして、5G回線による遠隔治療による高齢者にたいする医療の向上などです。