デジタル・ニューディール?5Gに対して組まれる予算を令和2年度の概算要求から予測

令和元年の補正予算として、Aiや5Gに対して1兆円をこえる予算案がだされていると報道がありました。国の予算枠の割合が国の方向性を示しているとも言えます。デジタル・ニューディールという表現で、今Ai・5Gに対してのかじ取りを国が示しています。
今回は、補正予算ではなく来年度にあたる令和2年度における概算要求から各省庁がどのような形で5Gに取組んでいくのかについて予測していきたいと思います。
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総務省の令和2年概算要求における5G関連の予算とは
総合通信基盤局や情報流通行政局など直接5Gに関わりのつより、総務省が提出している令和2年度の概算要求の中で5G関連の予算案についてみていきたいと思います。
- 5G・光ファイバ等の全国支援
- 高速・大容量の無線局を支える光ファイバの整備 64.8億円(52.5億円)
- 5G等の携帯電話基地局の整備推進 68.1億円(74.1億円)
- 地域課題の解決に資する5G活用推進
- 地域課題解決型ローカル5G等の実現にむけた開発実証 70.1億円(新規)
- ICTインフラシステム、郵便分野、行政相談制度、消防用機器、統計等の海外展開等
- ICTインフラシステム、郵便分野等の海外展開等 52.9億円(22.4億円)
- スマートシティ推進 6億円(2.2億円)
- 「IoT・5Gセキュリティ総合対策」の推進
- サイバーセキュリティ人材の育成 15億円(14.9億円)
- IoTの安心・安全かつ適正な利用環境の構築等 17.1億円(14.6億円)
- サイバーセキュリティに関する情報共有の推進 4.1億円(3.9億円)
http://www.soumu.go.jp/menu_yosan/yosan.html#r2
5Gだけであれば298.1億円ほどの予算となっており、昨年の予算が184.6億円であるのをみると6割もの増加となっています。このことからも5Gにむけての力の入れ方がわかります。
今回はこの計算の中には含まなかったのですが、IoTやAiといった5Gに間接的に関わる事業がほとんどでありましたので、実際予算における5G関連の割合というものはかなり高いとみられます。
中でも注目する点として、地域課題解決型ローカル5G等の実現にむけた開発実証に対して70億円もの予算案がだされています。これは以前総務省で公募していたローカル5Gコンテストのような形から事業化にむけての動きを支援するようなものであるように予測します。
経済産業省の令和2年概算要求における5G関連の予算とは
経済産業省といえば、直接経済活動にたずさわってくる省であり総務省はどちらかといえば通信業者にかかわる直接的な事業を持っている企業や団体に対してはたらきかえるような事業が行われていますが、経済産業省においては大企業をはじめ中小企業庁などが中心となる中小企業むけの事業や起業むけの事業などが提示されています。
そのような企業活動に直接かかわる5G関連の予算ということでリストをあげてみると以下の事業についてあげてみました。
- ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業 70億円(50億円)
- 共創型サービスIT連携支援事業 20億円(新規)
- AI人材連携による中小企業課題解決促進事業 15億円(新規)
- 情報システムの構築・運用 409.9億円(360億円)
- 人口知能(AI)等を活用した業務改革 6.2億円(7.8億円)
- 豊かな移動の実現 199.5億円(135.3億円)
- Society5.0を支えるゲームチェンジングな基盤技術の開発 326.2億円
以上、1046.8億円の予算案があげられています。ここから直接的な5Gという文字はみられませんのですべての予算が5Gに関わるとはおもいませんが、すくなくともものづくり補助金や、IT導入補助金のような形などは5Gとからめた新しい事業展開が可能であるように感じます。
企業としては、この補助金と5Gをいかした新しいサービスをB向けもしくはC向けに展開を検討していくのもいいかもしれません。
https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2020/index.html
文部科学省の令和2年概算要求における5G関連の予算とは
5Gというとどちらかというとスマートフォンの印象が強く、学校と連携するイメージはありませんでしたが、Society5.0の流れから今これから教育・学校に対しても5Gの導入が急がれています。
学校における5Gの導入が急がれている理由として考えられるのが、学校の老朽化や教師不足の件です。学校の老朽化がすすんでおり改修をしなくてはいけないという状況に今日本の学校はあります。さらに、団塊の世代の教職員が一斉に今定年を迎えており教師不足という現状です。
このような現状からも5Gの導入によりICTなどを活用できるインフラを整え人手不足の改善、さらに小学校でもプログラミングの事業などがはじまっていることからよりITに触れられる環境にしていくことが狙いであるのではないでしょうか。
それでは、文部科学省の5G関連の予算案はこちらになります。
- GIGAスクルールネットワーク構想の実現 375億円(新規)
- 小中高棟学校を通じた情報教育強化事業のうち情報教育指導充実事業 0.6億円
- 学校教育における外部人材の活用促進事業 0.7億円
- 新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業 19億円
- 大学の数理およびデータサイエンス教育の全国展開 12億円
- データ関人材教育プログラム 6億円
- AIP・人工知能/ビックデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト 96億円
- 保険医療分野におけるAI研究開発加速に向けた人材養成産学協動プロジェクト14億円
- 地域環境情報プラットフォーム構築推進プログラム 9億円
- Society5.0実現化研究拠点支援事業 7億円
などがあげられます。
https://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/r01/1420668.htm
国土交通省の令和2年概算要求における5G関連の予算とは
つづいては国道交通省がどのような形で5Gに関連してくる予算を割り振っているのかを見ていきたいと思います。
国土交通省の場合も、5Gという直接的な表現ではありませんでしたが、ネットワークやIoTさらにはAi技術という表現から想定される5G関連の事業をリスト化してみました。
- 災害対応能力の強化に向けた防災情報等の高度化の推進 17 億円 (2.11)
- 国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開 520 億円 (1.07)
- オープンデータ・イノベーション等による i-Construction の推進 28 億円 (1.51)
- コンパクトシティ・スマートシティの推進 242 億円 (1.33)
- 道路ネットワークによる地域・拠点の連携 3,299 億円 (1.15)
災害時における連絡網として5Gを利用した通信技術やIoT技術として一番はじめの防災情報等の高度化の推進をあげています。また観光庁にかんしてインバウンド対策としての5Gネットワークなどを利用した高次元での観光施設の展開に対して520億円もの予算をわりふっています。
2020年度はオリンピックの年ということもあり、インバウンドがもっとも活性化すると見込まれています。補助金でも人気のあったインバウンド関連の補助金ですが、特に多言語対応などのものが対象であったりとしましたが、今回の圧倒的な予算の割り振りをみるとさらに大きな予算規模での補助事業が展開されるのではないかと期待ができます。
5G技術の発達で期待されている自動運転ですが、この道路のネットワーク環境をとののえる事業として3000億円もの予算が割り振られています。
https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_001854.html
まとめ
5G関連ですが、これだけでも5000億円ほどの予算が5Gで組まれています。実際にもっと5G関連する事業ということであれば1兆円近くになるのかもしれませんが、あえて確実であろうというところだけをピックアップして今回ご紹介させていただきました。
昨年の予算と比較しても圧倒的に増えてきている5G関連の予算ですが、それだけで2020年は日本にとって5G元年になってくると予測させられます。この5G関連の予算が決定するのは3月末ごろですので企業の方はこれらの予算を確認しつつ、対策を立てておきたいところです。
大企業ではすでにローカル5Gの割当合戦が水面下で行われているようですが、引き続き5G関連の情報を5Gチョイスではお届けしてまいります。