5G通信の利活用で、選ばれる不動産会社になるために

不動産業界にとって、2月3月は引っ越し客の多い繁忙期ですが、近年では物件検索サイトの充実などから、不動産会社同士の競争率も上がってきています。引っ越し客は物件探しの際にどのようなことを求めていて、どのようなことをきっかけに不動産会社を選んでいるのでしょうか?遠方からの引っ越しの際、お客は何に困っているでしょうか?
もしかすると5G通信の利活用を先取することで、競合他社との差別化ができ『選ばれる不動産会社』になれるかもしれません。
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不動産会社に利用客が求めていること
今や引っ越しにおいて物件探しをする際、直接不動産会社に足を運ばずにインターネット上で済ませてしまう方も少なくありません。
その際に利用されるのが『不動産情報サイト』なわけですが、サイト上で大体一世帯につき2~4社ほどの不動産会社に問い合わせをしています。
利用客は物件情報をはじめ、不動産会社に対する信頼度なども加味しながら契約まで手順を進めていく訳です。正直、紹介する物件はそれぞれの不動産会社で大差はないと思うのですが、数ある中で選ぶ理由、選ばれる理由はもちろんあります。お客が不動産会社に主に求めていることを下記3点に絞りました。
- 物件情報の充実自
- 迅速な対応
- 周辺地域・治安に関する情報
物件情報の充実
ライフルホームズが行った不動産情報サイト利用者アンケート調査において、不動産会社に求めるものランキングで1位になったのは『正確な物件情報の提供』でした。87.6%の利用者が求めるものとして回答し、後に続いたのは76.3%の『物件に対する詳細な説明』、『周辺地域の治安や施設の情報』などでした。インターネット上で物件探しをする方が多い中、不動産情報サイトなどに掲載する物件情報の充実は必須です。
迅速な対応
特に引っ越し繁忙期においては、年度始めの4月に向けて突然転勤が決まる方や、受験生の引っ越しも多いです。いますぐにでも引っ越したい!という方も少なくないうえに、受験生は初めての引っ越しだという方も多いので、迅速で丁寧な対応を求めている人が多いといえるでしょう。
周辺地域・治安に関する情報
利用者にとって周辺地域の治安や施設情報は、日々の暮らしにおいて物件自体の良し悪しの次に重視する点であると言えます。
5Gが不動産業界に与える影響とは
不動産情報サイトへの掲載を始め、遠方に住む方への配慮であったり、業務の効率化などの理由から現在不動産会社では様々な部分でIT化が図られています。
もし、そこに昨今のニュースで話題の5G通信の利用を取り込むことで、更に遠方客とのやり取りもスムーズになったり、更に業務を効率よく行えるようになったりするとすれば、どのような活用方法があげられるのでしょうか?
下記に4点ご紹介いたします。
5G通信で遠隔内覧がスムーズに
遠方からの引っ越しで内覧したい物件の現地に足を運ぶことができない利用客にむけて、ビデオ通話などで賃貸物件の紹介を行っている会社は現在もあります。ですが、4G回線ではビデオ通話中に話が途切れたり、映像が止まってしまったりという経験はありませんか?5G通信では、大容量を要するビデオ通話もスムーズに行うことができ、説明が途切れてしまって非効率になることもなくなります。
それは遠隔内覧は、遠方客とのやり取りだけが活躍の場ではありません。5G通信を利用したVR内覧を行うことで、360°自由角度から、まるで実際に現地に行ったかのように見学をすることが可能になります。不動産会社は一人のお客と、社用の車に乗って何件か物件を回り紹介をするのが現在の主流です。しかし、繁忙期では車の数や予約状況などの兼ね合いもあり、複数の物件を見ることが出来ないという場合も多くあるでしょう。
そんな時にVR内覧という内覧方法をとることで業務効率化にもつながります。
5G、Aiを活用したオンラインでの接客
物件の希望条件に対して、おすすめの物件をAi(人口知能)を利用してお客に提示するオンライン接客が可能になります。
紹介した物件に対して、どのくらい熱心に検討されたか(お気に入り登録したか、内覧希望したか、質問はあったか)データを蓄積することで、今後のお客への提案精度向上につなげていきます。
データ蓄積をすればするほど、Aiの情報提供は精密になっていくとともに、データ自体もビッグデータになることが予想されますので、5G通信の利活用は業務効率化につながります。
5G通信の活用でIT重説の普及促進
以前まで、賃貸借契約において重要事項説明は対面で行うことが、宅地建物取引業法第35条で義務として定められていました。しかし、2017年10月から、テレビ会議などのITシステムを活用して非対面で重要事項説明を実施することが可能となりました。これがいわゆるIT重説です。
スマートフォンやタブレットを通してお客と対面同様に重要事項説明をすることで、双方向のやり取りが可能になりまだ引っ越しが完了していない遠方のお客様とのやりとりがスムーズになりました。ただし、IT重説はインターネット環境が不具合になれば中断することが遵守事項として定められていますので、安定したインターネット環境下で行わなければなりません。
これまでの通信環境では難しいと判断してIT重説を取り入れていなかった不動産会社も、5Gの利用が開始され、5Gが主流になるにつれて今後はIT重説がものすごいスピードで普及していくことが予想されます。
ローカル5G導入も検討材料に
5Gには、通常の携帯キャリアなどが提供する5G通信と、一般企業や団体が利用できるローカル5Gという通信領域があります。つまり不動産会社も、独自の5Gを利用したネットワークシステムを構築することが可能になるという訳です。
しかし、ローカル5Gの導入には免許の申請などの手続きが必要です。
これまでのネットワークではまかなうことが出来なかった大容量通信も5Gを利活用することで、現在よりスムーズに業務を進めることができたり、お客への案内もストレスなく行うことができるようになったりします。
キャリアの5Gを利用するのも良いですが、これまで通り速度制限などの通信制限は設けられると思いますので、社内で安定したネットワーク環境を整えるにはローカル5Gも検討材料とすると良いかもしれません。
まとめ
現在不動産会社はIT化に向けて、IT重説、ビデオ通話での内覧など、様々な施策がなされています。時代とともに技術は進歩し、できることは増えていきます。ですが、『正確な物件情報が見たい』『迅速で丁寧な接客が良い』『周辺地域の治安や施設情報が欲しい』というような要望は然り、形は変われどお客が求めるものはいつの時代も同じです。
5Gなど現代技術を最大限に活用しながら、より良い形でお客へサービスをしていくことで、顧客満足度UPにつながるといえます。これからの選ばれる不動産会社の鍵は5Gが握っているかもしれません。