楽天と日本郵政が資本・業務提携を発表!5G基地局整備にも投資予定

2021年3月、楽天は日本郵政グループと資本・業務提携に合意したことを発表しました。もともと楽天と日本郵政は、2020年12月の時点で物流分野において提携関係にあります。今回の合意により、今後は携帯電話事業でも連携を加速させていくでしょう。
今後の計画として、郵便局屋上への基地局設置、5G基地局整備への投資、郵便局内に楽天モバイル申し込みカウンターの設置などが予定されています。今回は楽天グループと日本郵政グループの内容を確認するともに、楽天モバイルに与える影響を見ていきましょう。
Contents
日本郵政と楽天が資本・業務提携
楽天と日本郵政グループの資本・業務提携の合意発表により、日本郵政は楽天に1,500億円を出資。楽天の発行済み株式を8.32%保有する大株主となります。
全国に展開する郵便局や物流のネットワークと、楽天の経済圏が組み合わされ、オフライン・オンラインで新たなシナジーが期待されています。両者は物流、モバイル、DXなどの領域で連携していくことを発表しました。
物流の新システムを構築
物流の分野では、共同の物流拠点・配送システム・受取サービスなどを構築し、両者のデータが共有化されるでしょう。日本郵政は、全国に約2万4000の郵便局を有しています。それを主体にした物流ネットワークに加え、楽天が持つ1億以上の会員基盤を連携することで、より行き届いたサービス提供につながると期待されています。
郵便局の屋上に基地局設置
モバイルの分野では、郵便局の屋上などに楽天モバイルの基地局を500局以上設置する予定で、すでに400以上の基地局が設置されています。
郵便局内に申し込みカウンターを設置
モバイル分野では、郵便局内に楽天モバイルの申し込みカウンターが設置されていく予定です。郵便局側がマーケティング支援も行い、配達ネットワークを活用した広告・宣伝も行われるでしょう。
楽天モバイルのユーザーには、オンラインでの申し込みが多いとされています。しかし郵便局に申し込みカウンターを設置することで、オフラインのユーザーにも訴求できるようになるでしょう。
DX推進も予定
DXの分野では、デジタルに強い楽天グループが日本郵政のDX推進に強力。楽天グループから日本郵政グループに対して、DXに精通する人材を派遣するとされています。
今後は金融、決済サービス、保険、物販での協業も視野に入れられています。具体的な協業内容は4月以降に発表される予定となっているので、今後の動向から目が離せません。
楽天モバイル側のメリット
これまで楽天のサービスはオンラインが中心でした。しかしオフラインで強固なネットワークを持つ日本郵政と連携することで、より行き届いたサービスが提供できるようになるでしょう。
日本郵政と連携することで、楽天モバイル側にあると考えられるメリットを紹介します。
基地局整備
楽天モバイルでは競争力強化のため、2021年夏までに人口カバー率96%達成を目標として掲げています。さらに利用者が増加しても通信品質を落とさないため、基地局の設置を当初の計画よりも増やしました。
これらのインフラ整備や内部体制強化のためには、大規模な投資が必要となるでしょう。楽天は日本郵政の他にも、中国IT大手であるテンセントの子会社からも約660億円の出資を受け入れると発表しました。
さらにアメリカの大手小売りメーカーであるウォルマートからも、約170億円の出資を受けます。これら3社による資金調達額は、総額で約2,400億円に上ります。
楽天は今回調達した資金の多くを5G基地局整備にあてる方針を示しています。
5Gエリア拡大
楽天モバイルは、2020年9月に5Gサービスの提供を開始しました。大手3キャリアに比べると安価で5Gが利用できる反面で、エリアなどには課題も多く残っています。
楽天は調達資金を楽天モバイルの基地局整備に1,840億円、5G基地局整備に310億円、4G・5G共通の設備に250億円が投資する予定を発表しました。今後は日本郵政や出資企業が、資金面で楽天モバイルの5G整備を後押しする形となるでしょう。
楽天モバイルの5G対応プラン「Rakuten UN-LIMIT」
楽天モバイルは5G対応の料金プランとして「Rakuten UN-LIMIT V」、「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」を用意しています。
Rakuten UN-LIMIT V
「Rakuten UN-LIMIT V」は、月額2,980円で5Gが利用できる料金プランです。
データ容量は、楽天回線エリアでは容量制限がありません。パートナー回線エリア(国内)では5GB/月となっています。パートナー回線エリア(海外)の場合は、2GB/月でデータ通信が利用できます。通話では、Rakuten Linkを使用した場合には、国内通話・SMSが無料となります。
月額料金 | 2,980円(一律) |
通話料金 | Rakuten Link同士:無料
それ以外との国内通話:20円/30秒 |
※海外指定66の国と地域の場合、国・地域別従量課金。
なお「Rakuten UN-LIMIT V」は、2021年4月1日以降に「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」へと自動アップグレードされます。
Rakuten UN-LIMIT Ⅵ
「Rakuten UN-LIMIT VI」は、2021年4月1日より提供開始となる5G対応のサービスです。
「Rakuten UN-LIMIT V」を契約している場合、4月1日のサービス開始時に「Rakuten UN-LIMIT VI」へ自動でアップグレードされるでしょう。アップグレードの際には、手続きや費用は一切発生しません。
こちらのプランでは、月額料金は毎月のデータ利用量によって変動します。また契約1回線目と2~5回線目で適用されるプラン料金は異なるので、注意してください。
月額料金 | 0GB~1GB:0円
1GB~3GB:980円 3GB~20GB:1,980円 20GB~:2,980円 |
通話料金 | Rakuten Link同士:無料
それ以外との国内通話:20円/30秒 |
※海外指定66の国と地域の場合、国・地域別従量課金。
「Rakuten UN-LIMIT」の特徴とメリット
楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」には、以下のような特徴とメリットがあります。
・データ容量をどれだけ使っても2,980円
・国内通話無料
・ショップ対応あり
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
どれだけ使っても2,980円
4月1日からスタートする「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」は、利用データ量が少ない場合、月額料金も安くなります。ほとんどデータを使わない月には、請求料金が0円となるでしょう。
一方で動画視聴やゲームなどをよく利用する人でも、請求される最大料金は2,980円となっています。データ通信をよく使う人も、使わない人も、お得に無駄なく利用できます。
国内通話無料
楽天モバイルでは、「Rakuten Link」という専用の通話アプリを提供しています。「Rakuten Link」を利用すれば、国内通話・SMSが無料となるでしょう。
国内通話かけ放題を利用するには、この「Rakuten Link」をインストールして、アプリから通話するようにしてください。
ショップ対応あり
大手3キャリアの「ahamo」「povo」「LINEMO」はオンライン専用のブランドですが、「Rakuten UN-LIMIT」なら全国の楽天モバイルショップで受付・申込が可能です。契約後に相談したいことがあった場合、実店舗や電話窓口でサポートしてもらえるでしょう。
なお、楽天モバイルのデータ使い放題で通信できるエリアは、楽天回線エリアのみとなっています。パートナー回線エリアでは、一ヶ月に利用できるデータ量は5GBと制限がかかっているので注意しましょう。5GBを達した場合には、通信速度が最大1Mbpsまで低下します。
まとめ
今回は楽天グループと日本郵政グループの資本・業務提携の内容と、この合意により発生する影響について解説しました。
両者の連携により物流、モバイル、DXなどの領域で、高いシナジー効果が期待できます。楽天モバイルはエリア拡大が課題でしたが、郵便局の屋上への基地局設置や、調達資金を5G基地局整備に投資することで解消されていくでしょう。郵便局内には楽天モバイルの申し込みカウンターが設置され、日本郵政がマーケティング支援も行う形となります。
5Gでは大手3キャリアに比べると後発となっていた楽天モバイルですが、今回の提携により遅れを取り戻すことが期待されています。2021年4月からは5G対応の料金プランをグレードアップして、よりお得に無駄なく利用できるようになるでしょう。