プライベート5Gの提供を2022年からー【ソフトバンク】

今年2020年の3月末から携帯キャリア3社が5G通信のサービスの利用開始を行ったことで、以前よりも5Gについての話題を耳にする機会が増えたり、興味を持ったりした方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。5Gは高速で大容量、かつ低遅延などの性質をもつ通信技術であることから、多くの業界に変革をもたらすことが期待されています。そして、携帯キャリアの5G通信のみにとどまらず、企業や自治体などが独自のネットワーク環境でありながらキャリア5Gと同様の通信環境を整えることができる『ローカル5G』などの利用も推進されているところです。

そうした中、キャリア5Gやローカル5Gとはまた別に、ソフトバンクが先日の法人事業説明会で発表したのが『プライベート5G』です。プライベート5Gとは、いったいどのようなもので、どのような方が利用するものなのでしょうか。

本記事では、ソフトバンクが発表した『プライベート5G』について詳しく解説していきます。

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プライベート5Gとは

ソフトバンクは2020年5月20日に開催した法人事業説明会において、全国で提供するパブリック5Gとは別に、企業・自治体等が自営型で構築・運用するローカル5Gとパブリック5Gの中間的な形態として『プライベート5G』を2022年から提供開始すると発表しました。尤もこのプライベート5Gとは、一般利用者が利用するというよりはローカル5G同様に企業向けのサービスといえ、ソフトバンクの今井副社長も『企業の5G活用においてキャリアとして最も力を発揮できる領域だ』との見解を示しています。

基本的に、この『プライベート5G』とは、仮想化技術を用いて企業個別の要件に応じた性能(通信容量、遅延など)を持つ仮想ネットワーク(スライス)を提供する技術『ネットワークスライシング』技術を使って特定事業ごとの要望に適応する5Gネットワークを提供するものです。ネットワークスライシング技術を利用することで、通信速度や容量の大きな『超高速・大容量スライス』や、『超低遅延スライス』などが用途に応じて最適な5Gネットワークをカスタマイズすることができるようになります。また、一番のメリットとしては、プライベート5Gではソフトバンクが全国に展開するキャリア5Gと同様、ネットワークの構築から運用まですべてを担うマネージドサービスを利用できる点でしょう。

要するに、プライベート5Gは企業が5Gネットワークの活用を必要としている敷地内に対し、ソフトバンクが自社に割り当てられている5Gの周波数帯を用いて提供するもので、利用者側は必要な通信容量を、必要な帯域で受けることができる上に、ソフトバンクがすべて構築から運用までしてくれるので、免許取得も保守運用も必要なくなるということになります。

プライベート5Gとローカル5Gとの相違点

一見、企業や自治体向けの5Gサービスとしてはローカル5Gと変わりないように思えますが、どういった点が相違点としてあげられるのか、下記に解説していきます。

プライベート5Gは免許の取得が不要

まずは、ローカル5Gは企業や団体がローカル5Gの構築に必要な免許を取得する必要があるのに対して、プライベート5Gはソフトバンクが許認可をとった5G通信領域を利用しますので、免許の取得は必要ありません。

ソフトバンクがネットワークの構築・運用を行ってくれる

更に、ローカル5Gは自身で免許を取得した後、構築から運用まですべて自身で行わなければなりませんが、プライベート5Gはソフトバンクが構築から運用まで行ってくれるマネージドサービス式ですので、その後の運用等の心配がないのが相違点の1つです。

特に、モバイルネットワークの構築や運用に関するノウハウを持っておらず、ローカル5Gの導入に不安を抱いている企業は少なからず存在すると思うので、その部分を実績のあるソフトバンクに任せられるのが最大のメリットといえるでしょう。

ローカル5Gよりも柔軟に通信環境をカスタマイズできる

また、プライベート5Gはネットワークスライシングによってその企業向けにカスタマイズしたコアネットワークを提供することも予定しており、高いカスタマイズ性を実現できるとも見られています。

プライベート5Gをお勧めする企業

このように、ローカル5Gよりも自由度が高いながら、データがパブリック5Gネットワークを経由しないことから通信の混雑など外部要因を受けることもなく、セキュリティも担保しやすいプライベート5Gは、今後企業からの授業がますます高くなりそうです。

では、プライベート5Gをお勧めする企業とはどんな企業なのか、解説していきます。

すぐに5Gが必要ではない企業

企業の急速なIT化にともなって、今すぐにでも5G通信環境を整えたいと考えている企業は少なくないはずです。しかし、このプライベート5Gは2022年からの運用開始になりますので、今すぐにでも5Gが必要であるという企業は2昨年末から免許の取得申請が始まっているローカル5Gを構築したほうが早く通信環境を整えることができます。

百貨店などの中規模施設

尤も、このプライベート5Gは、ローカル5Gとキャリア5Gの中間的位置づけになるといわれています。高額な運用費などで自前での5G通信網の運用が困難な企業の需要を取り込むことを目的としているプライベート5Gであれば、ローカル5Gの導入を予算面であきらめていた中規模施設でも導入のハードルが下がるでしょう。

学校などの教育機関でICT教育を行う場合などもよいかもしれませんね。

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プライベート5Gを導入するときの注意点

ローカル5Gやキャリア5G同様の通信環境を整えられるというメリットがありながら、ローカル5Gのように免許も必要なく運用もソフトバンクが行ってくれるので、非常に便利なサービスなのがプライベート5Gです。

ただ、プライベート5Gの導入を検討している方が注意しておきたいのは、プライベート5Gの利用開始は2年後の2022年になるということと、開始当初は5G通信の特徴を十分に発揮できる可能性が少ないかもしれないという点です。また、ソフトバンクからの提供であるため、キャリアの運用が止まったり、何か不具合が起きた際は、プライベート5Gにも影響する可能性があるかもしれません。

まとめ

本記事では、ソフトバンクが発表したプライベート5Gについて解説いたしました。ローカル5Gは免許が必要である上に、その後の運用も自身でしなければならないため、気になるものの、きが引けていたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。その点、プライベート5Gはソフトバンクが運用から構築まで行ってくれるので、安心であり、ローカル5Gよりも安価に利用できるとみられていますので、通信環境の構築にあまり予算を割けないという企業にもおすすめです。

このように、5Gはスマホや携帯などでの利用を飛び越えて、企業やお店、医療など様々な業界での利用が期待されている通信技術でもあります。ですので今回ソフトバンクが企業向けのプライベ―ト5Gを発表したことで、今後は他キャリアが後に続く可能性も大いにあるといえるでしょう。

いずれにせよ、5Gやローカル5G、プライベート5Gによって、世の中の様々なモノがインターネットにつながれる未来はすぐそこまで来ています。