5Gが動画ビジネスに与える効果とは?今後の動向をチェック

SNSや動画サイトに流れる動画広告に、手が止まったことがあるという方は多いはずです。いまや動画広告市場は、紙媒体広告の市場規模を抜かし、年々拡大傾向にあります。今後、広告業界に影響を与えると言われる5Gが普及すれば、市場はどう変化するのでしょう。
本記事では、動画市場の現在と5Gによる変化について紹介します。
Contents
動画広告市場の規模を知ろう
インスタグラムやYoutubeを見ている方であれば、動画型の広告が再生された経験がある方がほとんどでしょう。今はラジオや雑誌を読む消費者が減ったことに加え、通信技術の発展によって、動画広告は広告業界で、もっとも勢いに乗っている手段です。
2019年の動画広告市場は、約2,600億円と発表しており、前年比+141%の着地となりました。さらに2020年には3,200億円、2023年には5,000億円を超えると予想されていることからも、動画広告の市場拡大は間違いありません。
(参考:サイバーエージェント、2019年国内動画広告の市場調査を実施)
スマートフォン動画広告が熱い
1人1台スマホをもつ現代では、スマホの平均時間は1日3時間と報告されており、スマホが生活の1部として溶け込んでいます。そのため、動画広告市場のうち89%がスマートフォン動画広告で占められるという結果となりました。
スマートフォン動画広告が設置される機会が多いのは、やはりSNSや動画視聴サービスでしょう。スマホを使う目的の1位2位はSNSと動画ですから、消費者が多いマーケットに動画広告が集中するのは当然です。
参考:2019年版:スマートフォン利用者実態調査(MMD研究所)
動画広告市場が伸びた理由
ここまで動画広告市場が発展したのは、大きく分けて3つの理由があります。
・スマートフォンの普及
まず動画広告が伸びた理由の1つ目は、スマートフォンの普及です。スマホを使えば、いつでもどこでもインターネットに接続できる時代になりました。それにより広告業界は、紙よりもWEBでの広告に力を入れるようになったのです。
またスマホで利用されている「4G」も、動画広告を支えるきっかけとして役立っています。4Gは、従来の3G通信と比較し、高速で大容量なデータ通信が可能です。その結果、データ量の多い動画広告でも、スムーズに再生できるのです。
もし4Gがなければ、動画の読み込みに時間がかかってしまい、今のように動画広告が主役になることはなかったかもしれません。
・拡散効果がある
誰でも簡単にインターネットにつながれる時代では、インターネット上でコミュニケーションがとれるSNSが発達しました。簡単に自分の意見を共有できるSNSでは、話題性のある動画広告はすぐに拡散され、社会現象になることも珍しくありません。
SNSの中で、有名どころといえばインスタグラム・ツイッター・Youtubeの3つではないでしょうか。とくにYoutubeは世界で視聴者数20億人をこえる大型動画プラットフォームです。日本では3,000万人以上のユーザーがYoutubeを利用しています。
Youtubeの研究では、ユーザーの内90%がYoutubeで新しい商品をみつけていると回答しており、SNSで話題になることは、その後の商品の売上に直結するのです。
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・伝えられる情報量が多い
広告がテキストから静止画、動画と変化してきたのには、動画が持つ情報量の多さに特徴です。静止画と比較し動画は、約30倍の情報量をもっています。
(参考:文字から画像,そして動画へ)
また動画は、静止画よりも記憶に残りやすく、内容を理解しやすいという効果があります。広告はいかに商品を消費者に認知してもらえるかが大切ですから動画のPR効果は絶大と言えるでしょう。
動画広告の種類
企業が動画広告を利用するときに使われる手段は、インストリーム広告・インバナー広告・インリード広告の3つでしょう。こちらではそれぞれの広告の特徴と、主な使われ方について解説していきます。
・インストリーム広告
動画広告の中でもっともポピュラーなのが、メインコンテンツの前後や再生中に挿入される「インストリーム広告」です。
インストリーム広告は、YoutubeやAmazonプライムなど動画コンテンツによく利用されます。動画広告を見る視聴者に対して、必ず数秒間広告を見させることができるのが特徴です。インストリーム広告は、動画のスキップ機能があるかないかで、以下の2つに分けられています。
スキッパブル広告 | 動画を数秒見させて視聴者にスキップするかどうか選択させる。 |
ノンスキッパブル広告 | 動画終了まで強制的に再生させる。 |
動画コンテンツ以外にインストリーム広告が使われているのが、漫画アプリでしょう。漫画の前後にノンスキッパブル型のインストリーム広告が設置されており、漫画が読みたいユーザーは、必ず動画を見なければなりません。
・インバナー広告
古くから使われているバナー型の広告です。WEBサイトの広告掲載欄に設置されることが多いのが特徴です。従来は静止画のインバナー広告が多かったのですが、動画広告が主流の現在では、動画型のインバナー広告が増えています。
インストリーム広告と比較すると、ユーザーに必ず動画を視聴させる強制力はないものの、自社のブランディング効果を高める手段としては効果的でしょう。
・インリード広告
今回紹介した3つの広告の中で、もっとも新しく、勢いのある広告がインリード広告でしょう。インリード広告は、主にWEBサイトやSNSに利用されています。コンテンツとコンテンツの間に広告がはさまっており、ユーザーが広告の位置までスクロールした瞬間に、自動で動画が再生される仕組みです。
動画を最初から見させることができ、またメインコンテンツの中央に広告が設置されているため、ユーザーの手を止めやすいのが魅力です。Twitterでタイムラインをスクロールしていくと、動画広告が流れた経験がある方は、インリード広告をイメージしやすいかもしれません。
5Gが動画市場に与える影響
動画広告市場が、2020年以降も右肩上がりになるという予測は、次世代通信規格5Gによる影響が大きいでしょう。
5Gは「超高速・超低遅延・多数同時接続」という特徴をもっています。5Gが動画広告に与える影響としては、ユーザーが通信容量に捕らわれなくなることと、動画広告のクオリティが上がることの2点が考えられます。
・ユーザーが通信容量に捕らわれなくなる
従来のスマホの通信環境では、動画広告はユーザーのデータ容量をひっ迫させるため、ユーザーにストレスを与える可能性がありました。実はスマホでンテンツを視聴したときに、データ量の約4割が「広告」という調査報告もあるくらいなのです。
(参考:スマホでのコンテンツ視聴に占める広告の比率調査 角川アスキー総合研究所)
5Gが普及すれば、各通信キャリアは大容量のデータプランを安く提供するでしょう。そうなれば、ユーザーは通信容量に縛られることがなくなり、データ容量を気にする方は減るはずです。
また5Gの特徴である高速通信で、サクサク動画を読み込めます。その結果ユーザーは、ストレスを感じさせずに動画を視聴できるでしょう
・クオリティの高い動画が増える
これまで動画広告では、ユーザーのデータ容量に影響が少ないよう、短い動画やデータ容量の少ない形式の広告をつくっていました。
しかし5Gによって、ユーザーがストレスなく動画広告を視聴できるようになれば、動画広告は今までよりもクオリティが高くなるはずです。そうなれば今までよりもユーザーの目を引きやすく、広告効果のアップに期待ができます。
今後の動画広告はサイネージに注目
5Gの普及が進めば、動画広告のクオリティは進化し、市場はさらに拡大するでしょう。また今後の動画広告は、SNSやWEBサイトだけでなく、サイネージでの活用に期待が高まっています。
「サイネージ」とは、駅構内やデパートに設置が増えた「電子看板」のことです。これまでサイネージは大型施設の導入がメインでしたが、今後はスーパーや飲食店など多くの店舗で導入がすすむと言われています。
5Gを使えば高速通信が可能になりますので、気温や天候に合わせたおすすめ商品を、サイネージとして流すこともできるでしょう。
また5Gにサイネージが使われれば、これまで容量が大きすぎて扱えなかったAR型サイネージが普及する見通しです。ARを使えば、3Dのように飛び出す広告が作れるので、話題性が大きく広告効果に期待できます。
まとめ
動画広告市場はこれまで、通信技術の進化によって成長してきました。5Gも通信技術のひとつですから、5Gが普及すれば動画広告市場が拡大していくのは間違いないでしょう。今後はサイネージという新しい広告媒体が普及し、街中の広告が、動画広告で作られるという未来も考えらます。
さらに5Gが普及すれば、ARを使った全く新しい広告が生まれる可能性は高いはずです。今後も5Gと動画広告のトレンドに注目していきましょう。