ローカル5GはIoTの普及を助ける?活用方法やメリットについてご紹介

昨年12月からローカル5Gの免許申請の受付が始まり、実際に免許取得の申請をしたのは、12月末の時点で東京都やNTT東日本、ケーブルテレビ、ジュピターテレコム、NEC、富士通などであるとされています。

この、ローカル5Gの主な用途はといいますと、まさにIoTです。IoTとは『モノのインターネット化』つまり、モノをインターネットに接続することで便利化しましょうという考え方のことです。近年ではこのIoT製品も家電等に広がってきましたから、目にする機会が増えた方も多いでしょう。

本記事ではローカル5G構築においてIoTがどのように普及していくのか、どのように活用されるのか、ローカル5GとIoTの関係性について徹底解説してまいります。

5G時代、すべてがネットワークにつながる危険性は?

ローカル5Gを総務省が推進する理由

ローカル5Gについて、総務省は、地域の企業や自治体、産業の多様なニーズにこたえるためのものであると位置づけており、5Gだけでは対応できない様々なニーズをローカル5Gで補うとしています。

というのも、ローカル5Gは自営のネットワークを構築するものです。もともと企業には公衆のネットワークではなくセキュリティなどの観点から、できるだけ自営のネットワークを使いたいというニーズがありました。セキュリティ面だけでなく、自社の用途に応じて、システムを構築できるという点も同様でしょう。

特に5Gはモバイル通信という域を超え、様々な分野での活用が期待される新たなネットワーク技術であるとも言われています。その5Gの高速通信、同時多接続、低遅延が可能かつ、自営ネットワークであるローカル5Gは推進するほかないということです。

ローカル5GとIoTの関係性と活用法

ではローカル5GとIoTの関係性とはどこにあるのでしょう。活用法についても合わせて解説していきます。

5GではIoT機器の活用が多くなる

そもそもの話ですが、通信規格が3Gから4Gになったときと比べ、5Gは社会的インパクトが非常に大きかったと感じた方も多いのではないでしょうか。なぜならば、5Gは通信速度の高速化と合わせて、一度にインターネットに接続できる機器が4Gの時の10倍に増えたり、リアルタイムとの誤差がほぼなくなることで遠隔操作などを可能にするとされているからです。

そのようなことから、5Gはスマホの通信だけでの利用にとどまらず、様々な産業や医療等への活用が期待されており、ひいては5Gに接続される危機はスマホなどの通信機器よりもIoT機器との接続のほうが圧倒的に多くなるとみられています。

また、企業や産業・医療現場などにおいてモバイル通信を利用するにはセキュリティリスクや使い勝手が悪いなどの難点があることから、そのような現場でIoT機器を利用するのに、ローカル5Gの利用が推進されているということです。

ローカル5Gを利用したIoT機器の活用法

では、実際ローカル5Gを導入したところで、IoT機器の活用にはどのような変化があるのか、どのような活用法があるのか気になるところでしょう。

農業分野でのローカル5G×IoT活用例

豊岡市では、農薬を使わない代わりに、カエルやヤゴに害虫を食べてもらって米を育てる「コウノトリ育む農法」でIoTを活用し、農作業の効率化を図るための実証実験が行われています。

冒頭で、ローカル5Gの免許申請を行った企業等の中に『東京都』を上げましたが、ローカル5Gの申請は企業だけでなく自治体が申請することも可能です。コウノトリの実証実験で利用されたのは、モバイル通信と同様の5Gですが、農業施設等にローカル5Gを構築することで、作物の情報等をスマホでリアルタイムに確認することができたり、スマホから農薬をまいたりすることができるようになるでしょう。

実際に、コウノトリを育む農法では、5GやIoT機器を医療することで見回り回数や作業時間の削減といった省力化を実現し、ひいてはコストの削減につなげることができたといいます。

医療分野でのローカル5G×IoT活用法

医療分野は、特にローカル5Gの利用が期待されている分野の一つでもあります。というのも、5Gは低遅延という特徴をもつことから、遠隔医療を推進させると期待されているからです。とくに、現在コロナウイルスの関係で外出がままならないような状況が続いているわけですが、患者が自宅からスマホやPCなどを接続し、医師からのオンライン診断を受けることができたり、大きな病院でないとみてもらえないような症状でも、病院同士がIoTとローカル5Gを利用して接続することで、遠隔からでも診断することができたりするようになります。

これは、診断のみならず、手術での活用も広がっていくとされ、例えば救急車の中でも名医が遠隔から手術をしたりすることができるようになるかもしれないということです。

5G x IoTでインフラ構築を省力化

現在、日本の橋やトンネルなどの交通インフラは老朽化が進み、事故を防ぐための点検や補修が必要となっています。そこで橋桁、橋脚に複数の加速度センサー、IoT機器を設置し、計測した振動データを5G回線で収集・監視し、遠隔地でも橋の異常を検知する実証実験が行われています。

特に、このような交通インフラの老朽化が進んでいる地域といえば、過疎地域、田舎などが思い浮かぶわけですが、都会と違いすぐに工事に取り掛かったり、出張する人員を集めたりすることができない場合もあるわけです。そうした場合にもローカル5GとIoT機器を合わせて利用することで遠隔地からでも修復作業や構築作業等ができるようになるかもしれません。

また、IoT機器による複数のセンサーの監視で、点検の省力化、目視では気が付かないトラブルを未然に防ぐことも可能になるでしょう。

IoTの普及においてローカル5Gを活用するメリット

このように、ローカル5Gを活用することによって、IoT機器の活躍の幅は一点にとどまらず遠隔地へも手を伸ばすことができるようになるといえるでしょう。ネット環境が遠隔地との距離をなくしてくれると言っても過言ではありません。

では、そんなIoT機器の普及においてローカル5Gを利用するメリットとはどのような事項があげられるでしょうか。

5GとIoTが組み合わさるとどんなことができる?

遠隔操作が可能になる

1つは遠隔操作が可能になるという点です。これまでのWi-Fiや4G回線ですと、遠隔地とやり取りをしようとすると、決してできないわけではないのですが、やはり遅延が生じてしまうためにストレスなくやり取りをすることができません。特に、一刻を争う医療現場においては、遅延があると事故にもつながりかねないでしょう。

その点、ローカル5Gを利用することで、セキュリティを担保しながらモバイルの5G同様の効果を発揮できるといった点がメリットとしてあげられます。

業務効率化につながる

また、ローカル5Gは5G同様、同時に多数の機器をインターネットに接続させることができます。そのため、IoT機器を増やしても、ネット回線が遅くなってしまうといったことはありません。

IoT機器を増やすことができれば、業務効率化につながり、最終的に従業員の満足度をアップさせることにもつながるといえるでしょう。

Ai機器などを導入しやすくなる

今後、ローカル5Gを導入し、IoT機器を活用していく中で、Aiの導入を検討するときが来るかもしれません。そうした場合に、ローカル5GやIoT機器を今のうちから導入しておくと、突然Aiを導入しても効率的に利用できたり、さらに生産性を上げたりすることができるようになります。

特に、Aiの活用は、導入するだけで生産性が上がるということが保証されているように見えがちですが、そうではなく、きちんとしたプロセスと目的を持っていなければ失敗する可能性もあります。しかし、ローカル5Gを導入していればAiを受け入れやすくなりますし、ローカル5GでIoT機器の利用になれていれば、Aiの活用もスムーズに進められることができるはずです。

まとめ

本記事では、IoTと5Gの関係性や、ローカル5GでIoT機器を活用する方法、メリットについて解説いたしました。

モバイル通信とは別に、今後企業では自営ネットワークとしてローカル5Gを導入する企業が増えてくることでしょう。自営ネットワークであれば、自由にシステムを構築できるうえに、ローカルネットワークになるのでセキュリティ面でも非常に安心できます。

今後IoT機器の導入を検討している企業様、AiなどのIT機器の導入を検討している企業様はぜひローカル5Gの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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