5GとICTで保育園に革命を

保育園が抱える問題といえば、『待機児童』や『保育士不足』などが、日々のニュースでも取り上げられています。このような、いわゆる”量”的問題に目を向けすぎて、肝心の”質”がおろそかにされがちになっていないでしょうか。

待機児童を減らすこと、保育士を増やすこと、もちろん大切ですが、働く保育士さんが健康でいることや預かっている子供が健康でいることも大切です。今回は、保育園などのこども園で働く方をサポートするICTシステムと、それをささえる5G通信との関係をご紹介いたします。

保育園におけるICTシステムとは

そもそもICTとはInternet communication technologyの頭文字をとった言葉で、『情報通信技術』という意味があります。この技術は、パソコンやタブレット端末を利用した業務支援機能を搭載しており、仕事量の多い保育士さんの業務軽減、業務効率化を図ろうとしています。例えば、現在の保育ICTシステムですと、以下のような機能があげられます。

ICTシステム:登降園管理

園児の登園、降園時間をシステムで管理することで、毎日の手書き作業が必要なくなります。登園時間、降園時間をシステムで記録、蓄積していくため、管理も簡単です。

ICTシステム:指導案作成

過去の作成データをもとに指導案を作成することができるので、業務効率化につながります。

ICTシステム:保護者との連絡

欠席の連絡や、体調の連絡においても、メールやチャット機能を利用することができます。特に近年では共働きの家庭も増えてきており、勤務中のお母さんとの連絡がなかなかつかないことがあります。
そんな時も電話ではなく、メールやチャット機能を利用することでコミュニケーションがとりやすくなります。

ICTシステム:写真販売

従来の写真販売といえば、園内に写真を掲示し、参観日などに保護者に選んでいただくようなケースがほどんどでした。ところが、ICTシステムを利用することでWEB上に写真をアップロードし、ネットショッピングのように保護者が購入の手続き、支払いをすることができるようになるので、保護者、保育士ともに手間を省くことができます。

なぜ保育園のICTシステムに5Gが必要なのか

2020年に普及が見込まれている5Gですが、5Gは、大容量、高速通信、同時多接続、低遅延などの特徴があります。

これまでの保育ICTシステムにおいて、デメリットをあげるとすれば、インターネット環境に依存するため、安定したネットワークがなければ、情報を閲覧したり入力したりすることが出来ないといった点でした。更には、園児が増えるにつれて蓄積されるデータ量も増えるため、データ量が増えてくるとなかなかシステムにアクセスできないなどの不調もあったのではないでしょうか?

それを解決するのが5G通信です。5Gはこれまでの100倍の通信速度、また、同時に接続できるデバイスもこれまでの100倍ほどになり、1つの場所で集中してインターネットに接続しても通信が遅くなることはまずありません。

また、5Gは保育ICTシステムへの新しい機能の追加を示唆しています。それは、2019年にKDDIが発表した『スマート保育園プラットフォーム』というサービス構想で、5Gネットワーク通信と、クラウドカメラ、Aiの画像認識の3つのテクノロジーを利用しています。KDDIはこのサービスを保育園に活用することで、下記のような価値を提供できると想定しています。

保護者:クラウドカメラを活用することで遠隔からも子供の様子を見ることができる
顔認証による登園管理で簡単に送り迎えができる

保育士:施設全体の状況をリアルタイムで把握できることで、安全の強化につながる
Aiによる画像認識で、園児の体調の変化にもいち早く気が付くことができる

5Gが普及すると、これまでより更にAiなどの画像認識システムも躍進していくと考えられています。それは、超高速・大容量で低遅延の通信ができる情報基盤は「自動運転」や「遠隔医療」などを実現させることから、暮らしや産業構造を根底から変えるきっかけとなり、すべてのモノをインターネットに接続することを前提に開発が進んでいくことが考えられるからです。

自動運転や遠隔医療など別分野で開発されたテクノロジーは、いわば、分野別の境界を越えて、様々な分野で活用されていくようになることが予想されます。

例えば、防犯カメラの開発で得られたAiの画像認識システムが、上記のような、保育園の見守りシステムに活用することができるようになるというような事です。クラウドカメラによる見守りは、保護者にとっても保育園側にとっても双方に対して安心なシステムであることは間違いありません。

しかし、現在の4G回線やWi-Fi環境では、クラウドカメラからのビッグデータを受信することはできない状態です。

より解像度が高く、リアルタイム性に優れた情報を得るには5G通信を利用することで安心安全なっ保育が行えるようになります。また、5Gが普及することによって、このようなシステムの開発においても新サービスが登場することが予想され、業務効率化につながるようなサービスや、待機児童などの改善につながるサービスがでてくることもあるかもしれません。

業務効率改善や、保育士の業務過多改善等の保育園の内側の問題を解決することは、実は、外側の問題である、待機児童や、保育士不足などの問題を解決することにもつながっていると言えるでしょう。

ICT補助金を利用して導入コストも抑えられる

保育園にICTシステムを導入したくても、コスト面などでお困りの方はいらっしゃいませんか?そんな方に朗報です。保育園にICTシステムを導入する場合、ICT補助金を利用して導入コストを抑えることができます。

補助金の対象となる施設は
・認可保育所
・認証保育所
・小規模認可保育所
・認定こども園

などがあげられ、1施設あたり最大100万円の補助を受けることができます。ただ、自治体などによって条件等が異なる場合がありますので、事前に自治体にお問い合わせをしてみると良いかもしれません。

近年ICT補助金やIT補助金など、世の中の急速なIT化に伴い、それを助ける様々な優遇や施策が組まれています。予想ですが、5Gの普及の際にももしかすると新しい制度も導入される可能性もありますので、情報収集を行って、効果的に賢くシステムを導入することが大切です。

まとめ

保育のICTシステムは、割と最近よく聞くサービスだというイメージではありましたが、5Gの普及によって、更に様々なサービスや機能が追加されることが予想されます。5Gなど最新のテクノロジーをうまく活用することで、長らく抱えていた課題を解決することができるなど、保育園に革命を起こすことができるかもしれません。