コロナで教育現場もリモート授業が加速するかも?今後の教育現場の可能性とは

現在、コロナウイルスの感染拡大の影響により多くの企業でリモートワークが取り入れられている中、変化しているのはサラリーマンやOLの働き方だけではありません。

教育現場でも着々と、リモートホームルームなどが取り入れられ始めています。教育現場といえば、3月上旬から休校の措置をとるよう、政府から要請があったことで、多くの学校では3月末から春休みに入っていました。ところが、4月の新学期の時期になってもコロナウイルスによる事態は悪化するばかりで、5月のGW明けまで休校が延長されている学校もあります。

しかし、教育カリキュラム的にもスケジュール的にも、授業は進めなければなりませんので、ホームルームなどから徐々にインターネット通信を利用してリモートでのやり取りが始まっているということでしょう。

本記事では、コロナウイルスの影響による教育現場のリモート化、ICT化の加速と、5Gなどの通信インフラ等との関わりについて言及してまいります。

コロナ騒動による教育現場の変化とリモート授業の事例

コロナウイルスの影響により、全米の学校では遠隔技術を用いて授業を行うリモート授業や、家庭内でリモート授業にログインするためのツールを準備しているのだそうです。

ワシントン州のノースショア学区では、全33校、2万3500人余りの児童・生徒が4月9日の朝からビデオ会議システム『ZOOM』を利用して、ホームルームやリモート授業を行ったといいます。

こうした取り組みはアメリカにとどまらず日本でも一部の学校で取り入れられ、ホームルームや健康観察などに活用されています。コロナウイルスによる外出自粛などで、教育現場も大きな分岐点を迎えているといっても過言ではないでしょう。

ここからは、東京都のインターナショナルスクールがコロナウイルスによる休校要請が決まってから、すぐに取り入れたリモート授業の例をご紹介します。

YouTubeを見ながら体育の授業も

東京都のインターナショナルスクールでは、実際にホームルームや健康観察など簡易的なやり取りにとどまらず、体育の授業でもすでにリモート授業が取り入れられています。

授業が始まる時間になれば教師は生徒宛にYouTubeのビデオリンクを送信し、生徒側はリンクをクリックしてビデオに合わせてウォームアップのラジオ体操や、ワークアウト、クールダウンなど、合わせて35分ほどの運動を行います。

この時、参加する生徒全員と、ビデオ会議システムなどを利用したままにしておくことで、教師は全生徒がきちんと授業に取り組んでいるかなどを画面上から判断し、評価していくことが可能です。

社会の授業はGoogleを利用

同インターナショナルスクールにおける社会の授業では、Googleのシステムを利用して、クラスメイト全員と教師とがリアルタイムでビデオチャットでつながり、通常の授業と同様に授業を進めていきます。

授業ではしばしば生徒を挙手させ、問題に対する答えを発表する場面がありますが、そうした場合には、生徒がビデオチャット上で発表をすると、その発表している生徒の様子が、一人一人の画面に大きく映し出されます。また、先生や生徒の発言内容も瞬時に自動的に書き起こされ、画面に表示されるため、生徒にとっても教師にとっても効果的に授業を進めることができます。

教育現場のICT化が進む可能性も

突然の休校やリモート授業にいち早く対応できる教育現場は、コロナウイルス騒動が起こる前から、ICT教育を取り入れていた学校でもあります。

先ほどのリモート授業の様子をご紹介した東京のインターナショナルスクールではすでに子供たちは1人1台のパソコンやタブレットが配布されており、幼稚園のころからクラスの中や家でオンライン上の課題や宿題を提出していたため、慣れていました。実際、同インターナショナルスクールではコロナウイルスの影響で、一定の期間、オンラインでの授業が続けられる予定であるといいます。

現在、日本ではこのようなオンラインによる教育はあまり取り入れられておらず、海外では幼少期からごく当たり前に理ようされているタブレットやPCなども、海外に比べて普及していません。

とはいえ、コロナウイルスの感染拡大の影響により、日本の教育現場は早急に対応するため、多くの学校でリモートホームルームや健康観察などがとりいれられたことから、今後は教育現場のICT化も急速に進む可能性が大いにあります。実際に、静岡市の静岡聖光学院中学高等学校では、3月2日から、早々にインターネットを使ったオンライン授業が始まっています。同学校も、先ほどご紹介した東京のインターナショナルスクールと同様に、教師が作成した動画を利用して授業をすすめ、生徒がタブレット端末などで視聴するというものです。

インターネット上でレポートの提出なども行うことができます。

課題は教育現場と家庭の通信インフラ整備

ただ、リモート授業に限らずリモートワークも同様ですが、これらの実現において課題点となるのが、通信環境やタブレット端末の配布などのインフラ整備です。

家庭内に家庭用のパソコンがある場合や、高校生や中学生など、自分用のスマホを持っている生徒であれば、端末については問題はないのですが、それらを持っていない小学生などは困ってしまう場合があります。

また、仮にそれらの端末の準備があったとしても、やはり現在の4GやLTE、家庭用Wi-Fiなどでは、ビデオチャットの利用は容量が重たく、スムーズに授業が進まないという懸念点もあるでしょう。

教育現場へのローカル5G導入に期待

そこで、通信環境の問題を打破するとされているのが最近日本でも商用化したサービス『5G通信』です。5G通信は、携帯キャリアから提供されるモバイル通信のほかにも、企業や団体などが特別な免許を取得することで独自の5Gアンテナを構築することができる『ローカル5G』というものがあります。

教育現場は生徒の個人情報などを扱っていることもあり、一般企業と同様にセキュリティを担保しておかなければなりません。そういった意味でも通常のモバイル通信を利用するよりも、ローカル5Gを利用することで高セキュリティ性を保ちつつ、生徒とのやり取りも5Gの高速通信でスムーズに行うことができるようになります。

コロナによる外出自粛は2022年まで続く可能性も

コロナウイルスの影響は一時的で、外出自粛や緊急事態宣言が解除されれば自由に外出できると考えている方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、感染症の怖いところは、1派が収まれば、2派、3派と流行の波が訪れる可能性がある点です。特に、アメリカのハーバード大学の研究者はコロナウイルスの流行は『2022年まで続く可能性がある』と発表しました。同氏は、コロナウイルスが今後の5年間でどのように広がるか複数のコンピューターでシミュレーションした結果、そのような結論に至ったといいます。

感染拡大を防ぐために他人と距離を取るソーシャルディスタンスについて強制することが有効なものの、解除する度に反動で感染が広がる懸念があり、2022年まで断続的に人間の行動を抑制する必要があるということです。

こうした場合、2年間も休校などということは現実的にあり得ませんので、多くの学校でリモート授業、ICT教育の導入が促進されることでしょう。

まとめ

今回は、コロナウイルスの影響による教育現場のリモート化、ICT化の加速と、5Gなどの通信インフラなどの課題点について触れました。

コロナウイルスの影響で多くの学校に急速にリモート授業や、ICT教育の導入、通信インフラの整備などが行われれば、コロナウイルスが収束した際にはそれらの方法が一般化されている可能性もあります。

これからの世界は、大きく人間の動きに変化が訪れることになるでしょう。変化に迅速に対応しながら、5Gやその他通信技術などをうまく利用し、切り抜けていくことが大切です。