すべての学校にローカル5Gが!?GIGAスクール構想とは?

文部科学省は、2019年に「GIGAスクール実現推進本部」を設置しました。2023年度までには義務教育段階の子供1人につき、1台の情報端末および高速大容量の通信ネットワークを整備していく予定となっています。今回はGIGAスクール構想の内容を解説していきますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

そもそもGIGAスクール構想とは?

まず「GIGAスクール構想」の大きな目的を理解しておきましょう。「義務教育課程の生徒1人につき1台の情報端末、および高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させる構想」これがGIGAスクール構想の目的となります。

現在、日本国内における学校のICT整備は遅れている状態にあるのをご存知でしょうか。

地域や自治体によっては格差も大きく、全国一律のICT整備が急務となっています。この課題に対し、文部科学省は2019年12月19日、文部科学大臣を本部長とする「GIGAスクール実現推進本部」を設置しました。2023年度までには生徒1人1台の情報端末を実現し、さらにクラウド活用推進、ICT機器の整備調達体制の構築、利活用優良事例の普及、利活用の徹底を進めていきます。子供たちに公正に個別最適化された学びを提供し、全国の学校現場に持続的に継続させようという試みがあります。

さらにGIGAスクール構想の実現は、12月5日に閣議決定した経済対策に盛り込まれています。経済対策には「学校における高速大容量のネットワーク環境(校内LAN)の整備を推進する」とも明記されています。今後、小中学校における通信環境の整備は拡大していくと見られるでしょう

GIGAスク―ル構想を実現するために必要なこととは?

GIGAスクール構想を実現するには、いくつかの課題が挙げられます。

校内のインターネット環境の整備

まず校内で利用できるインターネット環境を整備しなければいけません。「GIGAスクール構想」に基づいた校内LAN整備の標準仕様によると、工事が必要となるケーブルはカテゴリー6A以上対応のものとなります。ハブやルーター、スイッチなどは将来の市場展開に応じ、容易な更新を可能とすることを念頭に置き、1Gbpsの普及モデルが求められます。さらに大容量の動画視聴、オンラインテストをストレスなく行えることが、校内LAN環境の標準仕様とされています。

そもそもの問題として、校内に無線LANが整備できていない、整備はされていても性能が不十分という問題を抱えているケースもあるかと思われます。さらに学校のネットワークを考えた場合、校内に留まらず校外への通信も総合的に考えなければなりません。これらの事情から、校内の無線LAN環境には以下の三つの事柄が重要視されるでしょう。

  1. 教育委員会と学校間のVPN強化
  2. インターネット接続の高速化
  3. 校内の無線LAN機器整備の強化

これらの課題に対しては、以下のような改善策が想定されています。

IPv6を活用したVPNを構築する

IPv6とダイナミックDNSを活用してVPNを構築することで、上記の問題は大幅に改善されるでしょう。対応機器が必要となりますが、校内に設置するルーターはGIGAスクール構想の補助金対象となるので、費用の2分の1が補助される想定となっています。

ローカル5Gを活用する

総務省との連携により、教育利用できるローカル5Gの活用モデルを構築、活用モデルの実証も行われます。ローカル5Gを活用することで、商用基地局がない地域でも自前で超高速環境の利用が可能となるでしょう。

机にICT端末等を利用できる電源等の整備

「GIGAスクール構想の実現」の事業内容には、以下の二つが含まれています。
①校内通信ネットワークの整備
②児童生徒1人1台端末の整備

まずは①について、詳しく見てみましょう。「GIGAスクール構想の実現パッケージ」によると、希望する全ての小・中・特支・高等学校等における校内LANを整備し、小・中・特支等に電源キャビネットを整備するとされています。GIGAスクールネットワーク構想の実現には375億円の予算が投入され、実現を目指します。

生徒1人1人の端末の整備

次に「GIGAスクール構想の実現」の事業内容にある「②児童生徒1人1台端末の整備」について見てみましょう。端末整備は令和5年度までかけて、生徒1人につき1台の学習端末が配備される事業です。公立学校に関しては対象児童数に対して補助が出ることになっています。

セキュリティ対策

気になるセキュリティ対策については、各教育委員会・学校が情報セキュリティポリシーの作成や見直しを行う際の参考となる「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」(平成29年策定)が、令和元年12月版として改訂、公表されました。主に以下の三項目を見直し、追加することでクラウド活用により使いやすい環境を目指すとされています。
・整備の硬直化を避けるための位置づけや構成の見直し
・クラウド・バイ・デフォルトの原則追記
・クラウドサービス事業者が留意すべき事項の追加

GIGAスクール構想はいつ頃から?

GIGAスクール構想の関連施策は、現在急ピッチで進行中です。政府はICT教育後進国から脱却するために、具体的に以下のように期限を定めています。
・2022年度までに、すべての小中学校で3クラスに1クラス分の学習者用端末を整備する
・2023年度までに、全学年の児童生徒1人ひとりが端末を持ち、活用できる環境を目指す

GIGAスクール構想の中でも、「1人1台学習者用端末」は特に重視されています。一方で各自治体や学校施設が抱える問題やIT整備状況も考慮し、「GIGAスクール構想の実現標準仕様書」や、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(文部科学省 令和元年 12 月改訂版)」を踏まえ、モデル例として参考にしてほしいと発表しています。

GIGAスクール構想を実現することで何が変わる?

「GIGAスクール構想」の実現に向けて、提示されたモデル例を紹介します。これらはあくまでモデル例ですが、将来的にGIGAスクール構想が実現することで変化するビジョンが見えてくるでしょう。

学習者用端末の標準仕様

  • 3OSごとの標準仕様を提示
  • 十分な通信ネットワークと、クラウド活用の下でのブラウザベースでの活用が前提
  • 米国の300ドルパソコンを念頭に、大量調達実現を含めて5万円程度の価格帯
  • デジタル教科書・教材等の操作性向上に資するタッチパネル・ハードウェアキーボード、QRコード読み込みを想定したインカメラ/アウトカメラを共通仕様にする
  • Wi-Fiを補完するLTEも選択肢の一つとする

校内LAN整備の標準仕様

  • 工事が必要となるケーブルは、カテゴリー6A以上対応
  • ハブやルーター、スイッチなどは、将来の市場展開に応じて容易な更新を可能とすることを念頭に置き、1Gbpsの普及モデルとする
  • クラウド活用だけではなく、大容量の動画視聴やオンラインテストをストレスなく行えること
  • 校内LAN整備と同時に行われるクラウド環境等構築、電源キャビネットを整備する

都道府県レベルでの共同調達の枠組み構築

  • 枠組みに参入することで、知見の少ない自治体でも容易に整備が可能となる
  • 大量調達となり、産業界との交渉力が大きく高まる
  • 都道府県内で枠組みに参加した市区町村なら、教員の異動や児童生徒の転校でも円滑に利活用が継続できる
  • 都道府県による教員のICT利活用推進に向けた方策が、統一的に実施できる

まとめ

今回は文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」について解説しました。

目まぐるしく情報化社会が進む現代ですが、世界的に見ると日本は教育現場におけるICT後進国となっています。この状況から抜け出すべく、新たな取り組みとしてGIGAスクール構想が提示されました。2020年度は約10年に1度行われる「学習指導要領」改訂の年。情報化社会に合わせてプログラミング教育も導入されます。

GIGAスクール構想では、ローカル5Gの活用モデルの実証も行われるので、新しい事業アプローチともなるでしょう。教育現場のICT整備は地域や自治体によって格差があるからこそ、注目してみてはいかがでしょうか。