巨大地震に向けての対策に5Gは活躍するのか?

5Gの普及によって様々なモノがインターネットに接続され、高速通信、大容量通信も可能になっていきます。すると、世界的にもAiの技術が急速に進化し、人々の暮らしが大きく変化することが予想されます。当然それに伴って、災害に対する考え方や防災対策方法なども変化することになります。
現在、南海トラフ巨大地震はM9.1という規模を想定して様々な防災対策がなされていますが、5GやAiなどの技術の進歩はどのように震災や災害時に役立ってくるのでしょうか。

東日本大震災から見えた課題

東日本大震災から9年が経過したいまも復興作業は終わっていません。多くの犠牲者を出すこととなった東日本大震災から見えた課題はなんなのでしょうか。

「東日本大震災では情報発信、伝達がうまく出来なかった」

東日本大震災発生時にはま防災無線の被災や通信の途絶などにより、被災状況の情報発信、報告に支障が発生しました。被災地のすべての情報源から発せられる情報が救助や情報発信に重要なため、効果的な情報伝達ができる設備を整える必要があります。

また、震災直後から、23の国・国際医療機関の支援チームが被災地を訪れました。問題の複雑さや大きさが故に、活動方針、法律を定められていない部分もあり、海外救助隊の事前連絡がないまま被災地に到着してしまうなど、現場が混乱した例もありました。

緊急災害対策本部、消防庁、外務省及び海外救助隊の間では情報共有がなされていたものの、海外救助隊の活動拠点への到着予定場所やその変更連絡が被災市町村まで連絡が間に合わなかったものと思料されます。

大規模な地震においても確実に国際連携のとれるような通信体制はもちろんのこと、海外からの救助隊の法的な位置づけ、受け入れ手続きや窓口の明確化が課題としてあげられます。

また、情報がない中で広範囲に及ぶ救助活動は困難でした。医療現場との連携も不十分だったことから、災害時の情報網の確立と人命救助を最優先とした人員や物資の提供を見直す必要があります。

5Gを活用した情報伝達とは

上記から、災害対策時における現状の課題は、情報発信や共有にともなう通信網の確立だと言えます。過去の災害を振り返ってみると、結局は情報の途絶により、様々な被害が拡大しています。

東日本大震災発生時は通信網の混雑により、電話がつながらなくなって安否確認ができなくなったり、通信事態がキャリアによって規制されてしまったりと、まったく情報が入ってこない状況になってしまいました。

災害時などにおいて、一時的にアクセスが集中しすぎてしまうと今までのモバイル通信システム(3Gや4G)ではトラフィックが対応できずに結果、アクセス制限がかかってしまい利用することが困難な状況になってしまっていました。

しかし、5Gは通信速度は現在の100倍にもなり、同時接続数も100倍以上が可能になるとされています。また、超高画質、リアルタイムとの遅延もなく遠方とのやり取りができるといわれているのです。

今後100年以内に起こると予想される南海トラフ巨大地震などでは、5Gのトラフィック容量や特徴を活用した防災対策が注目されています。どのような活用方法があるのか、下記に具体的な例をご紹介します。

災害時における5Gを利用した情報収集の想定

国土交通省と豊田市では、平成30年12月4日に南海トラフ巨大地震を想定してドローンを使用した訓練が行われました。衛星通信回線を利用し、ドローンを利用して災害想定箇所映像を豊田市役所へ送信、および、中部地方整備局と豊田市役所間でのTV会議を行うという内容です。

自衛隊はこれまで、上空からの被災地の状況を情報収集するにはヘリコプターを利用しており、ヘリコプターでは映像を受信する機器が必要であり被災地によってはその設備がない場合も多くありました。しかし今回利用したドローンであれば被災地に受信設備がなくとも、遠隔地から必要な情報をすぐに確認ができるようになりました。

さらに、被災地においてドローンの活用を期待されているのは、ヘリコプターでは不可能だったピンポイントの狭い範囲から広域での情報収集ができるようになることです。有人で操作されるヘリコプターでは救助時における二次災害をさけるため救助隊の危険場所を回避した創作などが主流でした。しかし、無人探査機であるドローンは有人ではいけないピンポイントの狭い奥まった場所などの捜索から広域にわたっての連続捜索が可能になります。

被災地の状況は1分1秒で変化します。その変化を5Gで高解像度の映像を配信できるようになったドローンの操作により、正確にリアルタイムの情報を得ることができ、効果的で迅速な対応が可能になります。

5Gを利用した高解像度の映像により情報を分析・処理

地震などの災害時は、速やかな救助活動や情報配信が求められます。そのために、消防庁や医療現場、被災地との連携が必要なわけですが、災害時には密な連携を行うために『指揮所』が設けられます。

しかしこれまでは情報を集約する指揮所で取得できていた平面映像では、立体的な災害現場全体の状況を分析することが難しいという課題があり救助活動などに支障をきたしていました。

今回の国土交通省にて行われた訓練では、5Gを利用してドローンから配信されてくる高解像度の映像や立体映像を取得できるようになることで、被災地の情報をより正確に理解・分析、そして救助等への指示に生かすせることが実証されました。

また、病院への搬送指示もリアルタイムで正確な情報をもとに的確に行うことができるので、より迅速な対応が可能になると言えます。

5G通信網を利用した被災地内への情報配信

災害時において、被災地に家族や知人さらには職場関係の方たちの安否を確認する連絡などが殺到したり、被災地側にいる人たちは安全な地域や被災状況を確認するためにインターネットなどへのアクセスが一時的、局地的に利用されます。そのためトラフィックが渋滞を起こすことでアクセスができない状況に陥ってしまいます。

東日本大震災の際は、携帯キャリアなどの同様の理由からトラフィックが混雑しアクセスが規制されました。

5Gはこれまでの100倍もの同時接続が可能になりトラフィック領域が広がることで、電話がつながらない、メールが送受信できないなどの状況が改善されるようになります。災害時におけるスマートフォンを使用した情報のやり取りが可能になることで、安否確認にも役立てることができます。

5Gで地震予測は可能なのか

現時点で5Gによる地震予測が可能かどうかの発表はありません。しかし、5Gの普及により地震感知機から受けた情報をより速く伝達することができるようになることで、緊急地震速報の精度が上がることが予想されます。

また、可能性の話ではありますが、いち早く地震を感知することによりガスや電気、ブレーカーなども自動的に止まるようなシステムが開発され二次災害を防ぐことができるようになるかもしれません。

まとめ

南海トラフ巨大地震は、今後100年以内にはほぼ確実に発生するといわれています。一部の専門家の間では2030年には起こるなどという意見もある中で、災害対策における5Gを活用した技術の開発は急務であると言えます。

だれも事前に予想することのできない未来ですが、対策次第ではその被害を激減することはもできます。5Gや災害対策における知識や活用方法を頭に入れておくことで自分の身や大切な人を守ることができるかもしれません