【DX×5G】より高度なデジタル化のための5Gの活用

近年、あらゆる業界でデジタル化が進んでいます。2020年の春には日本国内でも5Gサービスの提供が開始され、今後もデジタル化の流れは加速していくでしょう。5Gはあらゆる産業・業界において注目を集め、活用が期待されています。高速・大容量、低遅延、多数同時接続という三つの特徴を持つ5Gは、より高度なDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する鍵となるでしょう。

今回は5Gを活用して、より高度なDXを実現するための説明をしたいと思います。5Gが活躍しそうな分野、5G活用のメリット・デメリットについても解説していきますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

 

 DXとは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称です。単なるIT化やデジタル化とは異なり、「ITやデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織を変革すること」を意味します。

データやデジタル技術を活用し、組織やビジネスモデルの変革や、働き方改革を実施している企業も少なくありません。

近年のビジネス環境は、激しい変化と競争に晒されています。企業はデータやデジタル技術を活用して、競争上の優位性を確立しなければなりません。DXを行うことにより、たとえば以下のような効果が期待できるでしょう。

・新たな製品・サービス、ビジネスモデルを創出する

・業務プロセスの再構築により、生産性向上・コスト削減・時間短縮などが期待できる

・業務そのものを見直して、働き方改革を実現

・企業の土壌を見直して、企業の在り方そのものを変革する

従来のIT化は業務効率化などを「目的」としていましたが、DXは「手段」として変革を進めていくものと捉えておきましょう。

DXと5Gの関係について

2020年春から日本でもサービスが開始した、第5世代移動通信システムの5G。5Gは高速・大容量、低遅延、多数同時接続という三つの特徴があります。たとえば今までの4Gと比較すると、以下のような違いが挙げられます。

  5G 4G
通信速度 下り20Gbps 下り100Mbps~1Gbps
通信遅延 1ms 10ms
多数同時接続 100万デバイス/km² 10万デバイス/km²

 

これまでの4Gは通信速度が制限されているので、高画質の画像や映像など大容量データが扱いにくいという欠点がありました。一方で5Gは、10倍の多数同時接続と、1/10の通信遅延を誇ります。

この5Gの特徴により、あらゆる業界でDXが劇的に進むのではないかと注目を集めています。

今後のビジネスでは、IoT機器から収集されるデータが重要な役割を担うようになるでしょう。5Gを活用して、各種IoT機器から収集したデータをAIが解析し、新たな価値やサービスを生み出すことが期待されています。既存産業に5Gを導入することでIoT化が加速し、DX推進においても重要な役割を担っていくでしょう。

5Gが活躍するDXとは

5Gを導入することで活躍するDXのビジョンを紹介します。

製造業

5Gが活躍する分野として、一点目に挙げたいのが製造業です。工場内にあるロボットや機器を5Gで繋げることで、遠隔からの監視・制御・自動化など、あらゆる工程の効率化が実現できます。カメラで撮影したデータを5Gでリアルタイムに収集し、AI分析にかけることも可能です。蓄積したデータ分析により、生産性や安全性の向上が期待できます。また流通とデータを連携することによって、サプライチェーンの効率化・最適化も実現できるでしょう。

建設業

5Gが活躍するDXとして二点目に挙げたいのが、建設業です。近年は建設業界において人材不足が深刻化しつつあります。この問題は5Gを導入・活用することにより、改善するのではないかと期待されています。

5Gは低遅延という特徴を持っています。そのため遠隔地にいても、タイムラグなく正確に重機を操縦できます。熟練の技術者が現場にいなくても、全国の建機が操作できるようになれば、現場の人手不足問題解消に繋がるでしょう。

医療

医療分野でも5Gを活用したDXが期待されています。たとえばIoT技術を活用した遠隔手術支援、ビデオ会議の問診、8K映像でのAI診断など、あらゆる技術が向上していくでしょう。

5G通信により、CTやMRIなど高精細な画像を医師の間で正確に共有することが容易となります。そのため、遠隔地にいても正確な画像診断が可能となるでしょう。ロボットによる遠隔手術も、低遅延なネットワークにより技術的には可能になると予測されています。遠隔診断が実現すれば、地方や過疎地など医師不足が叫ばれる地域の問題解決も期待されています。

 

5GをDXに活用するメリット

5Gを活用してDXを推進するメリットを見ていきましょう。

出先でも安定した高速通信が行える

5Gで通信速度が安定・高速化することにより、屋外や出先であってもネットワークの利用が容易になります。外でも安定した高速通信が行えるので、リアルタイムで最新情報を把握したり、経営判断が行えるようになるでしょう。

これまで使用していたシステムの利用頻度も上がっていくと思われます。利用頻度が上がると、システムのキャパシティアップが必要となります。深夜などの時間帯でも使えるように、可能性を広げる必要が出てくるかもしれません。そのため既存システムの進化も期待されています。

通信コストの削減

5Gでは大容量通信が可能となります。これまで混雑時や夜間など、繋がりにくかった時間帯もカバーできるようになるでしょう。多数同時接続により、これまで接続できなかった台数も同時接続できるようになります。

今までネットワーク接続に伴い発生していた機器やサービスにかかるコストも、大幅に削減できるでしょう。

テレワークへの活用

新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークや在宅ワークの需要が高まっています。

5Gで同時に接続できる端末数が増えることにより、従来よりもテレワークが容易になります。また高速・大容量通信と低遅延により、ストレスフリーなWeb会議も実現されます。お互いの顔を見られるだけではなく、資料や画面を共有しながら有意義な会議が行えるようになるでしょう。

低遅延による信頼性の向上

4Gまでの通信システムでは遅延が発生しやすく、情報伝達がスムーズに行えないという側面がありました。そのためDXやビジネスの活用の幅も限られていました。

5Gなら遅延は4Gの1/10になります。低遅延が進むことで情報伝達のリアルタイム性や信頼性が向上し、建機の遠隔操作や遠隔医療も正確に行えるようになります。

マーケティングにも活用できる

店舗や商業施設に設置したカメラの映像から、顧客の動向を検知して購買行動が分析することも活用されています。

5Gのネットワークで同時接続するIoT機器が増加すれば、より広範囲のデータがリアルタイムに収集できます。さらに集めたデータをAIで分析し、顧客の購買・非購買行動を割り出すことで、即効性の高いマーケティングが実施できるようになるでしょう。

遠隔制御で人件費を削減できる

5GやIoT機器、AIを利用することで、製造業の生産ラインやロボットの遠隔制御も可能となります。

生産現場のセキュリティ管理、生産管理、指導などに割いていた人件費を削減できるでしょう。そのため非常にインパクトが強く、多くの企業から注目が集まっています。

ケーブルレス化が進む

5Gは有線LANと遜色のない低遅延・高速通信・安定性が期待されます。取り回しが楽で、製造ライン変更時にケーブルの張り替え工事が不要になります。

そのため需要変動に合わせて製造ラインを柔軟に組み替えることも可能となるでしょう。また工場における製造装置の無線制御も実現できると期待されています。

5GをDXに活用するデメリット

DXに5Gを活用することで発生しうるデメリットについても、紹介させていただきます。

セキュリティリスクが高い

5Gはあらゆる機器が同時にネットワークに接続されます。便利な反面、セキュリティ面の危険性も指摘されています。たとえばサイバー攻撃の増加、ネットワークのトラフィック量増加で窃取される情報も増えるといった懸念の声も挙げられています。

あらゆる機器が繋がるからこそ、セキュリティ対策には従来以上の厳重な注意が必要となります。危険性を踏まえた上で、セキュリティシステムを進化させていく必要があるでしょう。

5Gの普及に時間がかかる

現在、国内において通信キャリアの5Gは全国どこでも使えるわけではありません。2020年9月時点では基地局の整備が十分に進んでおらず、利用できるエリアは限定的です。

大手携帯三社は、共同で過疎地などに5Gエリアを構築する方針などを発表しています。しかし本格的な普及・浸透には、まだまだ時間がかかると考えておくといいでしょう。

高速通信が実感できない可能性もある

現状で発表されている5Gの数値は、あくまで理論的な数値です。実効速度にはいろいろな条件が作用するので、5Gの高速通信を実感できない可能性も指摘されています。数値上は高速通信なのに、なぜ恩恵を実感できないのでしょうか。

現在5Gは、4Gの設備と共有した「ノンスタンドアロン構成(NSA)」が使われています。5Gのアンテナがない場合は4GのLTE通信が使われるので、設備が追い付かず十分な実効速度が得られないのです。

これを解決するのが、4Gとは独立した設備を用いる「スタンドアロン構成(SA)」です。通信キャリアは2023年末を目途にSAを実現すると目標を掲げていますが、それまでは5Gのスペックをフル活用した高速通信は難しいかもしれません。

まとめ

今回は5Gを活用した、より高度なDXについて解説しました。

5Gが持つ高速・大容量、低遅延、多数同時接続という特徴により、IoTの促進が期待されています。8K映像の高精細な画像・映像のやり取りや、タイムラグのないリアルタイム通信、同時接続端末の増加により、我々のワークライフは変化していくでしょう。

5Gを活用したDXは製造、建設、医療などさまざまな分野で活躍が期待されています。通信コストの削減やテレワークの普及促進など、あらゆる見直しや改革にも繋がります。一方でセキュリティ面での危険に晒されやすい点や、普及に時間がかかる点も懸念されています。これらの点を踏まえた上で5Gを活用し、DX推進に取り入れてください。