クラブハウスブームは終わった?廃れるSNSに共通するたった一つの特徴

「クラブハウス(Clubhouse)」は彗星の如く日本に現れ、一気に普及したSNSです。しかしTwitterを見ていると「クラブハウスはもう飽きた」「クラブハウスはオワコン(終わったコンテンツ)だ」という意見が見受けられます。
一時はTwitterやInstagramに並ぶ新しいSNSとして、仲間入りを果たすのではないかと言われていましたが、なぜクラブハウスは定着しなかったのでしょうか。そこで本記事では、クラブハウスが日本で定着しなかった3つの理由を解説するとともに、廃れるSNSに共通する特徴について見ていきます。
Contents
クラブハウスが流行した理由
2021年1月末、突如日本で話題となったSNSが「クラブハウス」です。クラブハウスは「音声版Twitter」とも呼ばれており、使い方としては音声のみで会話をしたり、会話を聞いて楽しむことができます。
まずは、クラブハウスが爆発的に流行した2つの理由についてみていきましょう。
クラブハウスが流行した理由①:芸能人がこぞって始めた
クラブハウスは2021年1月末に日本でインストールが開始されたSNSです。もともとアメリカのビジネス界で普及していたSNSということもあり、日本でもビジネスに関心の高い著名人や、芸能人が率先してインストールしました。
クラブハウスは、テレビやYoutubeのような編集された会話ではなく、生放送ラジオのような形で配信されます。そのため「芸能人の素顔に近い話が聞ける」と、ユーザーが急激に増加しました。
クラブハウスが流行した理由②:異業種交流ができる
クラブハウスでは、異なる年齢や業種、趣味の人々が集まっているため、気軽に「異業種交流」ができます。
例えば「外食系の雑誌編集長と飲食店オーナーの討論会」や「女子高生と経済アナリストの政治教室」など、普段では関わりのない人と話せるのです。
コロナ禍の現在では家で過ごすことも多いため、家で情報収集ができるアプリとして注目されました。
クラブハウスの終焉
普段話すことができない人と話せるクラブハウスは、日本での提供開始から瞬く間に普及していきました。しかしながら、わずか1ヶ月ほどでクラブハウスの流行は、落ち着きを見せはじめます。
下記のグラフは、Googleトレンドによる検索からみた人気度の動向です。
リリースを開始した1月末から急速に注目を集めたものの、2月頭からは緩やかに波が落ち着いていることがわかります。
ではなぜクラブハウスは人気を落としてしまったのでしょうか。
クラブハウスが廃れた3つの理由
クラブハウスは一時、新しいSNSとして定着するのではと言われるほど、大きな盛り上がりを見せました。しかし現在ではそうではありません。むしろブームが去ったSNSと指摘されています。こちらではクラブハウスが廃れた3つの理由を解説します。
・新規ユーザーが参入しにくい
クラブハウスでは「ルーム」と呼ばれるチャンネルの中で、パーソナリティ(話者)とリスナー(視聴者)に分かれて会話を楽しみます。
しかしフォロワーが少ない中で、ルームを立ち上げる人はほとんどいません。なぜならルームの立ち上げ通知は、フォロワーにしか届かないため、フォロワーが少ないと人が集まらないからです。そのためせっかくクラブハウスを始めても、もとからフォロワーの多い人だけしか楽しめないという格差ができていました。
・動画が流行る時代に音声のみは時代錯誤
クラブハウスの場合、ラジオと同様にリアルタイムで話が進んでいくため、途中からルームに入ると、話されている内容がわかりにくいという問題があります。ユーザーにとっては、会話に取り残されたような疎外感を感じやすいのです。
また最近はInstagramやYoutube、TikTokなど、動画主体のSNSが流行っています。そんななかで音声のみのクラブハウスは、ユーザーにとっては飽きやすいコンテンツと言えるでしょう。
・閉鎖的空間で拡散されにくい
ときにSNSは消費者が芸能人と同等の影響力を与えるコミュニケーションツールです。
しかしクラブハウスは、TwitterやInstagramなどの大手SNSとは真逆の存在といえます。クラブハウスは規定上「録音の禁止」「口外の禁止」と定められているからです。クラブハウスは、いわば「その瞬間でしか聞けない会話」を楽しむSNSとなっています。
クラブハウスのような閉鎖的空間では、他のSNSのように拡散効果はありません。周囲へ共有する手段のないクラブハウスは、現代人にとっては物足りなかったのでしょう。
過去に廃れたSNS「マストドン」を振り返る
クラブハウスと同様に、話題性は高かったものの廃れてしまったSNSがあります。それが「マストドン」です。マストドンの繁栄と衰退について振り返ってみましょう。
マストドンとは
マストドンは2017年の4月頃、突如Twitterに代わるSNSとして注目が集まりました。Twitterのように短文を投稿できるSNSなのですが、Twitterの文字数上限が140字に対し、マストドンは500文字まで文章を投稿できるのが特徴です。そのためミニブログとして使えるのではないかと、話題になっていました。
また「インスタンス」と呼ばれる仮想サーバーが多数存在しており、趣味に合わせて自分でサーバーを立ち上げることができました。つまりマストドンは、SNSと掲示板の中間のような存在だったのです。
マストドンの繁栄
独自のサーバーを立てられるマストドンは、ドワンゴやピクシブなどの大企業がサーバーを立ち上げたことで、新規ユーザー数が一気に増加しました。とくにピクシブが立ち上げたサーバー「Pawoo」は、イラストレーターの交流の場して、ユーザー数53万人を超える超大型インスタンスとなりました。
マストドンの衰退
マストドンはTwitterとは異なるSNSとして、瞬く間に話題になりました。しかしマストドンは自力でサーバーを運用するため、サーバーの維持費が発生します。広告など収益化する手段がなければ、メンテナンスコストや人的コストが高く、長くは保たなかったのです。
実際にサーバーの閉鎖が相次ぎ、ユーザーは気軽に集まる場がなくなったことで、自然とマストドンから足が離れていきました。
流行るSNSと廃れるSNSの違い
コミュニケーションを目的としたSNSなどのサービスは、ユーザー数がサービスの魅力に直結します。ユーザー数が多ければ、交流も活発になり、話題性が高まるからです。しかし多くのユーザーを集めるためには、維持費としてコストがかかります。
つまり流行るSNSを作るためには「資金」が必要です。単にサービスを提供するだけでなく、広告などの収益化する方法を考えなければなりません。クラブハウスもマストドンも、サービスの人気に火がつく前に、マネタイズ方法を確立できなかったことが、廃れた原因の一つかもしれません。
5G時代に流行るSNSを考えよう
また今後流行るSNSを考えたときに抑えておきたいのは「5Gらしさ」ではないでしょうか。5Gと言えば「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」という特徴をもった次世代高速通信です。5Gが発展すれば、ARなどの大容量コンテンツが発達すると同時に、タイムラグなしの生配信が楽しめます。今後はクオリティの高い動画や生配信が重宝されるようになるでしょう。
まとめ
「クラブハウス(Clubhouse)」は彗星の如く日本に現れたものの、勢いが落ち着いてきたSNSと言えるでしょう。
飛ぶ鳥を落とす勢いとも言われたクラブハウスが、落ち着いた要因としては、新規ユーザーの入りにくさや、収益化の難しさがありました。現代はコンテンツの消費スピードが早いと言われていますので、消費者を飽きさせないコンテンツづくりが重要です。