【5G×Ai】5Gの実現でAi技術はどのように進化するのか

5Gが本格化し始めた2020年4月。日本では続々と5Gサービスが家庭やビジネスシーンで実用化されています。しかし日本の5G導入は世界の中で見ると遅れ気味。5G先進国と呼ばれるアメリカ・韓国・中国では自動運転が実用化されたり、遠隔手術を成功させたりと、着々と5Gは人々の暮らしを豊かにしています。本記事では5G先進国の1つ中国の情報を基に、5Gの活用によってAIがどのように進化するのかを探っていきます。

5GとAiの関係について

5Gの特徴は「超高速化」「超多同時接続」「超低遅延」の3つ。この3つの特徴によって今までよりも大きな容量のデータの送受信が簡単に素早く行えるようになっています。5G実用化によって恩恵を受けると言われているのが近年話題のAi。5Gの活用によりAiはこれまで膨大な時間をかけていた情報処理を一瞬で行なえるようになったり、デバイス同士を効率的に連携させることができるようになりました。5GをAiに活用することでAi事業は大きく発展し、社会インフラの中枢となるでしょう。

Aiに5Gを活用するメリット

Aiに5Gの技術を活用することで、スマートフォンの高速化といった個人での活用だけでなく、ビジネスシーンや社会全体でのデジタル化が見込まれています。こちらではAiに5Gを活用することでどんなメリットがあるのかを解説していきます。

大容量のデータをクラウド処理できる

映像データをAiで処理するには、クラウドと連携した計算処理が必須です。しかしハイクオリティな映像データはその分データサイズも大きく、計算処理に時間がかかっていました。5Gの活用により、映像データを従来の10分の1に圧縮することが可能となり、タイムロスなくクオリティの高い精密な映像データを処理できるようになりました。

多数のデバイスと接続してセキュリティアップ

オフィスのウイルスセキュリティ対策にも5GとAiの活用は有効でしょう。5GとAiを活用すれば、サイバー攻撃を自動で検知・解析が可能。具体的にはサイバー攻撃の情報を、Aiに学習させ分析させることで、マルウエア攻撃を実際に受けた時に、どんなマルウエアによるものかを計算し、組織全体にアラートを出すことが出来ます。

業務効率化

5Gによる超高速大容量通信によって、業務スピードを格段に向上させることができます。IT化の進む農業では、収穫した農作物の画像をAiに読み込ませることで、検品作業を効率化することも可能。テロ対策に注視する航空業界では、これまでモノクロだった荷物検査時の画像をフルカラーにすることで、より精密な荷物確認を行なえるようになっています。このようにオフィスだけでなく、工場や施設でデバイスがウェブ接続されることでスマート工場、スマートシティ化が進んでいくでしょう。

遠隔操作が可能になる

超低遅延では、移動通信の遅延が1ミリ秒以下という特性から、「遠隔操作」に役立つでしょう。例えば医療業界ではロボット医療に5GとAiを使うことで現場と遠く離れている状況であってもリアルタイムで手術可能。これまで高度な医療を受けるためには、主要都市に行く必要がありましたが、これからは離島にいる患者を、東京から遠隔手術することもできるでしょう。今後5Gが整備されることで、医療分野は目覚しく進歩していく期待が持たれています。

5G×Aiの中国の事例

5Gはスマートフォンの通信速度アップや高画質化といった変化だけでなく、新たな生活を支える鍵の1つとして、医療や交通、農業、教育といった幅広い分野に変化をもたらすとされています。中国では5Gの活用が着々と進み、市場規模やネットワーク設備状況をみれば世界の先頭。2025年までに5G接続数が8億700万件、中国全接続数の2分の1が5Gに切り替わると予想されており、いかに5Gの浸透が進んでいるかが見て取れます。
(参考:”Mobile Economy China 2020”GSMA

こちらでは中国の取り組みについて事例を紹介しながら解説していきます。

自動運転

中国では「自動運転技術」の開発や法整備が進んでおり、すでに試験運用が始まっています。バスに5GとAiが活用された「スマートバス」には、20台のカメラを設置。5Gの特性である低遅延、多数同時接続を生かして、渋滞状況を予測して車線変更を行なったり、車間調整を無人で行なっています。さらに顔認証による支払いも可能ということもあり、今後ますますバスやタクシーといった交通サービスを支えてくれるでしょう。

スマートシティー

中国・杭州では道路上にライブカメラを設置。映像データをAiにリアルタイムで分析させることで、より暮らしやすい社会を目指しています。一例として、交通状況に応じて信号を自動で切り替える事で、救急車の到着時間を半減させたり、渋滞緩和に役立っています。さらに渋滞が起こりやすいポイントを分析することで、新たに信号機や車線を追加し、一部区間の通過時間を15%短縮したという報告も上がっています。
(参考:“「スーパーシティ」構想にかかる各国現地視察等 報告 現地視察概要”首相官邸HP )

遠隔医療

中国では2019年3月、世界初の遠隔手術を成功したことで、大きな注目を集めました。現場から手術チームの距離は約2,200km。5Gを活用した手術中の画像や音声の乱れといったトラブルはなく、遠隔であっても高精度な手術が行なえる証明となりました。映像データは医師のもとに3Dホログラムで再現されるため、医師はまるで目の前で手術を行なっているかのような直感的な分析を行うことが出来ます。

5Gによる遠隔手術が今後とも活用されていけば、農村部の医療技術が発達していない地域であっても高度医療がうけられ、健康水準が向上するでしょう。また研修医や経験の浅い医師のシュミレーションとしても活用できるとされているため、質の高い医師が増加するきっかけにもなるでしょう。

5G×Aiの未来とは

5Gの浸透によって日本社会は大きく変化するでしょう。経済産業省・日本経済白書では5Gについて「4Gまでが基本的に人と人とのコミュニケーションを行うためのツールとして発展してきたのに対し、5Gはあらゆるモノ・人などが繋がるIoT時代の新たなコミュニケーションツールとしての役割を果たすこととなる」と述べています。実際に自動運転や、遠隔医療、スマートシティの構築等、さまざまな分野で5GとAiは人々の暮らしを豊かにするために活用されるでしょう。

KDDI株式会社・代表取締役社長の高橋社長は、5Gを新たなビジネスチャンスを作っていくためには想像力と創造力の2つが重要と述べています。もしかしたら、10年後には今では想像もつかないほど、デジタル化が進んでいるかもしれません。

まとめ

2020年代は、自分の情報や、身の回りのあらゆるものがネットワークに繋がっていく社会になるでしょう。実用化が進めば進むほど、日本の生産性や技術力が向上するの子は間違いありません。例えば一般ユーザーは、動画ストリーミングサービスを利用する際にロード時間なく映像を楽しむことが出来たり、支払いのキャッシュレス化もますます進んでいくでしょう。法人向けでは、自動運転や遠隔手術、スマートシティ構想などスマートフォンだけでなく、ありとあらゆるものに5Gが浸透して行くことになるでしょう。

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