5Gスマホはいつから快適に利用できるようになるのか

日本でも世界から一足遅れて3月末に携帯キャリアから5Gサービスの利用開始がアナウンスされたわけですが、実際に発表されてみると5Gが利用できるエリアの狭さに絶望感を覚えた方も少なくないでしょう。

5Gに対応したスマホは続々とリリースされるものの、エリアが伴わず、利用者としては5Gが利用できないのに5Gスマホを購入しても意味がないのではと疑問に感じている方もいらっしゃるはずです。

では一体、5Gスマホが快適に利用できるようになるのはいつごろになるのでしょうか。本記事では、キャリア別に5Gエリア展開について予想していきたいと思います。

ドコモの5Gエリア展開について

ドコモの5Gサービスは2020年3月25日から始まり、全国数十か所に5Gスポットが展開されました。いずれも5Gが快適に利用できるエリアであるというよりはWi-Fiスポットのような具合に、『5Gの基地局がある場所へ行って利用する』といったイメージで、日常的に利用することは未だできない状態です。

また、3月末から劇的なる感染拡大を見せた新型コロナウイルスの影響により、基地局の構築にも遅れが出ている状態であるといいます。3月末時点でのエリア展開状況については下記の記事に詳しく解説しておりますのでご覧ください。

5Gは結局どこで使える?ドコモの5G基地局都道府県別まとめ(3月末時点)

では、ここからはドコモの今後の5Gエリア展開について解説していきます。

ドコモの今後の5Gエリア展開ロードマップ

ドコモの今後の5Gエリア展開については下記のようなスケジュールになっています。

時期 エリア関連 速度関連(最大)
2020年(サービス開始時) 500局150箇所、可搬型キャリー5Gを33台 受信時3.3GBPS/送信182MBPS
2020年6月末 47都道府県&東京五輪主要施設へ5Gエリア拡大 受信時最大4.1GBPS/送信時最大480MBPS
2021年3月末 全政令指定都市含む500都市へ拡大
2021年6末 基地局数1万局
2022年3末 基地局数2万局
2023年度中 新周波数帯による基盤展開率97%(どこでもつながると言える状態)

ただ、2020年6月末までに東京オリンピックの主要施設へ5Gエリア展開をすると予想されていたものの、おそらく新型コロナウイルスの影響で作業が遅れているのではと予想されます。

多少のずれが生じたとしても大体2023年までには多くの地域で5Gが利用できるようになるのではないでしょうか。実際、現在の4G展開率が90%を超えている状況ですが、2023年の予定では新周波数帯による基盤展開率97%となっています。電波の特性上、一部利用できるエリアでありながら電波が届かなくなるなどの障害が生じることも予想できますが、おそらく2023年にはほとんどの地域に5Gの基地局が展開されているはずです。

ドコモが5Gサービスプランを公式発表!スマホにおける利用料金や端末、5G対応エリアの詳細は?

ソフトバンクの5Gエリア展開について

一方ソフトバンクは2020年3月27日から5Gサービスを開始し、4Gの通信料金と変わらない通信料で5Gが利用できるサービスを行うなど、5Gスタートアップサービスを展開しています。

ただ、5Gの通信料が割引になっているのには、5Gスマホを購入しても利用できるエリアがまだ限られているからだという理由もあり、やはりエリア展開については厳しい状況が続いているところです。

実際のソフトバンクのエリア展開については下記の記事にて詳しく解説しておりますのでごらんください。

ソフトバンクが27日から5G開始!エリアの詳細まとめ【前半4県】(3月末時点)

ソフトバンクが27日から5G開始!エリアの詳細まとめ【後半3県】(3月末時点)

上記の記事にも詳しく解説しておりますが、3月末時点でソフトバンクの5Gが利用できる県は、全国47都道府県のうち、7都府県にとどまっています。

ソフトバンクの今後の5Gエリア展開ロードマップ

時期 エリア関連 備考
2020年(サービス開始時) 7都府県に展開 受信時3.3GBPS/送信182MBPS
2020年夏以降 公式エリアマップ における黄色のエリアへ展開
2020年度末 基地局数1万局
2021年度中 スタンドアロン追加
2021年度末 人口カバ―率90%以上
2022年度中 プライベート5Gの展開 https://5-g.jp/private5g/

ソフトバンクの今後の5Gエリア展開は上記の表のような具合です。

現在、世界で商用化されている5Gサービスは、NSA(Non-Stand Alone)と呼ばれる仕様に基づいており、5G単独では動作せず、4Gネットワークとの連携が必須になります。コアネットワークは4GのEPC(Evolved Packet Core)を流用し制御信号は4Gネットワークでやりとりするのが基本です。しかし、上記の表に記載のある『スタンドアロン』を国内キャリアで初めて導入するのがソフトバンクであり、スタンドアロンを導入して初めて、真の5Gの能力を提供できるようになるといいます。ネットワークスライシングなど高度な機能を提供できるのもこの段階からであるといい、より高度な5Gが早期に利用できるのはソフトバンクであるといえるかもしれません。

ただ、こちらもコロナの影響で展開が遅れていることが予想できますので、2021年の人口カバー率90%に遅れが出ると考えても、2022年頃に快適に利用できるような具合になるのではないでしょうか。

KDDIの5Gエリア展開について

最後にKDDIの5Gエリア展開について見ていきます。KDDIの5Gサービスは3月26日から開始され、家族割りなどを含めるとかなり安価に5Gスマホが購入できるようなプランが用意されていました。

KDDIもついに3月26日から5G開始!料金と対応スマホ、エリアの詳細まとめ

KDDIのエリア展開は、ドコモやソフトバンクのように、何県のどの場所というよりは、局地的に利用ができるエリアが分散しているイメージですので、下記のURLから地域ごとの記事をご覧いただくことでKDDIの5Gエリアを確認していただくことができます。

KDDIの5Gエリアまとめ

KDDIの今後の5Gエリア展開ロードマップ

時期 エリア関連 備考
2020年(サービス開始時) 全国15都道府県の一部エリアから提供開始
KDDIの5Gエリア(3月末時点)
受信時3.3GBPS/送信182MBPS
2020年夏以降 公式エリアマップにおける黄色のエリアへ展開
2021年3月 基地局数約1万局
2022年3月 基地局数2万局超

KDDIのエリア展開についてはドコモやソフトバンクと少々遅れをとる動きとなり、2022年度末時点でも基地局数2万局にとどまります。

ただ、KDDIはソフトバンクと4月1日に『5GJapan』という5Gエリア展開を加速させるための合弁会社を設立しておりますので、同社の展開がうまくいけば、2023年頃にはソフトバンクと同等ほどの基地局をカバーしている可能性もあるかもしれません。

KDDIとソフトバンクが合弁会社を設立!5Gエリアの拡大は今後どうなる?

日本ではいつから5G通信が快適に利用できるようになるのか

上記のように、ドコモは2023年にカバー率97%、ソフトバンクは2021年に人口カバー率90%以上、KDDIは2021年度末時点でも基地局数2万局程度ということになりました。

いずれにせよ、日本で5G通信が各都道府県に現在の4Gと同じくらいにカバーされ、利用できるにはあと2~3年がかかるということになるでしょう。そして、5Gのエリア展開と合わせて問題になるのが5Gの電波の特質によって電波の届かない場所が出るなどの障害の問題ですが、それらのブラッシュアップ期間や、速度のさらなる向上などで、5G本来の特徴がしっかり体感できるのは2020年代後半であるといったところではないでしょうか。

まとめ

本記事では、ドコモ、ソフトバンク、KDDIの3社の5Gエリア展開の現状と、今後の見通し、そして日本で5Gが快適に利用できるのはいつ頃なのかという点について解説いたしました。

各キャリア5Gエリアの一刻も早い展開をしようと試行錯誤している状態ではありますが、電波の特質や基地局設置における自治体への許可の問題など、様々な問題が相まって、一気に利用が始まるといったことにはならないようです。

5Gスマホを利用する際は、5Gのエリア展開情報を随時確認しながら、効果的な買い物ができるようにしていきたいものですね。