5Gで楽しめる遠隔音楽セッション!【音楽ビジネスとITの関係】

日々の私たちの生活には、沢山の音楽であふれています。音楽番組の視聴をはじめ、ライブやコンサートに足を運んだり、手持ちのスマートフォンで好きなアーティストの音楽を聴いたりと、日常的に音楽に触れる機会が多いです。
youtubeやTikTokなどの動画再生アプリが話題になっている今、5G登場で他のユーザーとリアルタイムでの音楽セッションも夢じゃない?思い描いていた未来は5Gを利用することで実現されるのか?という展望を抱いている方も少なくないでしょう。
尤も、最近ではコロナウイルスの影響で自宅で動画やSNSを見る回数が増えたという方も多いはずです。人と会うことが困難な今、遠隔セッションへの需要は高まっているに違いありません。
そこで本記事では、5Gによる遠隔音楽セッションが実現するのかという点について今後の可能性を言及していきます。
Contents
これまでに行われてきた遠隔セッション
これまで、リアルタイムでのセッションは不可能だったものの、他ユーザーが録音し、アップロードした音楽に合わせてコラボすることは可能でした。これから紹介するアプリは、周りに音楽友達はいないけど、誰かとセッションしたい人や、バンドで作った音楽を聴いてほしい人、単純に沢山の音楽に触れたい人などの想いを叶えています。
nanamusic
nanamusicはユーザーにより録音・投稿された演奏や音声を使用して、アプリ上でバンドや合唱ができる、音楽コラボを目的としたアプリです。
投稿されたコンテンツは150万件以上、再生回数は5000万回を超える規模になっています。アプリのダウンロードのみで始めることができるため、機材や録音知識がいらない手軽さから、ユーザーの半数以上を10代が占めています。また、海外ユーザー向けに15言語のローカライズに対応したり、Twitterと連携をしたりしたことで、新規流入も5倍に増えたと言います。
jamstudio
jamstudioもnanamusicと同様に、アプリ上で他ユーザーとコミュニケーションがとれる音楽SNSサービスになります。
自分が興味のあるコミュニティを見つけ、気に入った曲に“お気に入り”マークを付けたり、投稿者にコメントを送ることができる独自のSNS機能も搭載されいるので、音楽的なコラボレーションだけでなく、オンライン上でプレイヤー同士の交流を深めていくことができます。また、気になる投稿者をフォローしておけば、その人の音楽を逃さずにチェックすることも可能です。
更に、jamstudioには月額580円で使えるグループ機能があり、この機能は登録メンバーに対してのみ、限定公開という形でトラックを投稿したり、メンバーのみがそれに演奏を重ねていけるという物です。
NETDUETTO
NETDUETTOは、ネットワークを利用して『リアルタイム音楽セッション』を行うことができるものです。NETDUETTOはこれまで、光回線などの固定回線を利用してベータテストを行ってきました。2008年からプロジェクトとして開始され、2011年にはニコニコ動画の生放送に組み込まれ、光回線のPCユーザー同士であれば参加者同士が遠隔地でセッションをすることも可能になりました。
現在は音の遅れがあるものの、今後、5Gの高速や低遅延などの特徴を生かしてネットワーク上でのリアルタイムな合奏ができるようになる見込みです。
実際に5G版NETDUETTOに関しては、2017年11月にドコモと共同で日本科学未来館にてステージ上のキーボードプレイヤーと、別の防音室にいるシンガーとが5Gを経由してライブセッションを行いました。NETDUETTOではこれまで光回線などの固定回線が必須とされていましたが、ここでは5Gの無線ネットワークでリアルタイムのセッションが実現したのです。
youtubeやTikTokを通してのセッションは可能か?
以前より、youtubeやTikTokなどの動画再生アプリがますます話題になってきています。youtubeは全世界で月間、19億人のアクティブユーザーが、日本では6200万人のユーザーがおり、これは5大SNS(LINE、Twitter、Facebook、Instagram、youtube)のなかでLINEに続いて2位です。TikTokは昨年から10代から20代を中心にダウンロードされ、950万人のユーザーが利用しています。
では、このようなアプリを利用してリアルタイムで離れたユーザーと交流をすることは可能なのでしょうか?現在は遠隔でコミュニケーションを取れるようなサービスはありません。ですが、現在実際に、リアルタイムではなくてもコラボレーションの需要があることから、今後5Gが普及し、遠隔音楽セッションが容易になった際には、動画再生アプリがここに参入してくる可能性も大いにあります。
遠隔音楽セッションだけでなく、人気youtuberユーザー同士のコラボレーションなどもかんがえられ、今後の展開が楽しみです。
遠隔音楽セッションと今後の可能性
現在の光回線や4G回線ではリアルタイムとの遅延が生じるため、お互いの音楽を聴きながら演奏する音楽にとって、遠隔音楽セッションは不向きです。モバイル端末からの普及も見込まれる5Gであれば、音の遅れもなく、リアルタイムでのセッションが可能になります。
なかなか集まることのできない音楽仲間同士や、オンラインで出会った仲間同士が自由に音楽を楽しむ環境を5Gが作り出すことができます。ライブやコンサート会場においても、5Gを利活用した技術でアーティスト同士のコラボも見られるかもしれません。
また、ダウンロードやアップロードも高速になることで、今より更に気軽に音楽ツールを使用する人も増えるでしょう。
まとめ
こうした、場にとらわれない音楽が、より音楽を身近にし、文化の発展にもつながるといえます。これまで、人の音楽を聴くだけだったり、人前で歌いたくても恥ずかしかったりしていた人も、インターネット上でのセッションが可能になることで、容易に音楽を楽しむことができるようになります。
ITの発展により、芸術文化の継承などが軽んじられるような危機感をもたれていましたが、以外にも新しい形で、気軽に文化に触れる機会が増えるかもしれません。5Gの利用開始によって、ますます動画再生アプリやSNSの需要は高まっていきそうです。