『携帯料金値下げ』はいつから?政策に対してキャリアはどう対応するのか

5Gサービスの開始や楽天モバイルの新規参入に加え、9月29日にドコモがNTTの完全子会社となる報道がされるなど、様々な出来事があった日本の携帯電話業界。そうした出来事の中でも、国民の興味を寄せているのが菅首相の目玉政策ともされている『携帯料金の値下げ』です。

5Gサービスも開始した手前、通信料は今後高くなることが予想されていたわけですが、5Gの利用料金も低価格化を余儀なくされるとなりますと、各携帯キャリアはどのように対応していくのでしょうか。

本記事では、気になる携帯料金の値下げはいつからなのか、そして各携帯キャリアの値下げへの対応について解説してまいります。また、5Gも安価に利用できるようになるのかというところも合わせて解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

携帯料金値下げはいつから?

そもそも、携帯料金の値下げはいつからなのかというところが、皆さんが気になるところなのではないでしょうか。しかし、具体的に『いつから』といった明言は各キャリアとも未だしていない状態で、具体的な値下げまでの計画も発表されておりません。また、2020年3月から始まった5Gサービスの基地局設置などで各キャリアは多額の投資を行っているとされています。このことからも、すぐに値下げと一筋縄ではいかないのが現状です。

とはいえ、目玉政策ともいわれるほど、この『携帯料金値下げ』が政治問題化している以上、何らかの形で安くなることは間違いないでしょう。

ここからは、まず、菅首相の『携帯料金値下げ』の政策の詳細と、各キャリアに値下げに対応する余力があるのかというところについて見ていきたいと思います。

菅首相の『携帯料金値下げ』政策の詳細

菅首相の『携帯料金値下げ』政策の詳細ですが、政府の言い分としては下記の言い分があげられています。

①日本の携帯料金が世界で一番高い
②4割値下げするべきだ

実際、日本の携帯料金は、世界各国と比べて下記のような具合になっており、一番携帯料金が安いロンドンと比べて6000円近い差があることがわかります。

なお、こちらの携帯料金の割り出しは、データ20GBでの計算で、音声通話65分、メール108通分の値段であるとお考え下さい。

ですので、4割値下げとなりますと、単純計算で4905円程度であり毎月5000円ほどの携帯料金にまで値下げが必要であるということです。

・各キャリアがすぐに値下げを行えない理由

ただし、冒頭でも申し上げた通り、各携帯キャリアは政府から指示を受けたからといって今すぐに携帯料金値下げを行うことができるわけではありません。

その理由としては、3月に始まった5Gサービスに巨額の投資をしなければならないからです。実際各キャリアはそれぞれ、5Gの特定基地局などの設備費として2024年までに

NTTドコモ:約7950億円
KDDI:約4667億円
ソフトバンク:約2061億円

の投資をする予定であると発表しています。

尤も、政府はデジタル庁を新設するなど、国内のデジタル化に向けて着々と準備を進めていますが、そのデジタル化において、4Gの約100倍の通信測度を実現する5Gは重要なインフラとなります。

必要不可欠なモノとして期待されている分、5G基地局構築に巨額の投資をしなければならない上に、携帯キャリアの主要収益源である携帯電話の利用料をすぐに4割値下げするとなるとリスクを伴ってしまうことになるため、今すぐに4割の値下げを行うことは不可能であるということです。

各携帯キャリアの値下げへの対応

しかし、携帯料金の値下げが国を挙げて推進され、もはや政治的問題と化している以上、携帯キャリアが一切値下げを行わないということは考えられません。各携帯キャリアがどのように値下げへ対応していくのかという点について下記に解説していきます。

段階を踏んで値下げに対応することに

先ほども申し上げたように、一気に4割値下げは難しいものの、一旦は料金の見直し程度でじわじわと段階を踏み、値下げに対応していくことになるのではないでしょうか。

初めの段階で値下げ対象となると考えられるのは、

①小容量プランの値下げ

②端末など通信料以外の値下げ

③○○割りなど、条件付きでの値下げ

などです。

現在は、大容量プランの利用者が増えており、そこを収益の大半としている部分もあるため、データ通信を使った分だけお金を支払う小容量プランの料金を値下げしたり、通信料金以外の値下げとして端末代金などの値下げをしたりという方法が、キャリアの検討材料として挙がっているといいます。

また、現在も家族割りやセット割などの○○割りをはじめ、期間限定のキャンペーンも多くありますが、そのような割引やキャンペーンなどで条件付きの値下げをする方針も検討されているようです。

ドコモ筆頭に値下げが行われる可能性も

そして、携帯料金の値下げへの期待がさらに高まった出来事として、9月29日に発表されたNTTによるドコモの完全子会社化があげられます。会見では、NTTの筆頭株主が日本政府であることから、携帯料金の値下げに向けて政府から圧力があったのかという質問がありました。

これに対し澤田氏は、NTTがドコモの完全子会社化を検討し始めたのは4月ごろで、政府の出資比率がドコモの完全子会社化や携帯電話料金の値下げには影響していないと明言したうえで、携帯電話料金の値下げに関しては、ドコモの完全子会社化によりドコモの財務基盤が安定すれば、結果的に料金値下げにつながるとコメントしています。

また、澤田氏はモバイルの基本回線として、そして携帯キャリアの中核としてドコモが良いサービスを提供し、顧客ニーズに応えていくことで、料金値下げをおこなう余力が出てくるとも付け加えました。今後はドコモを筆頭に値下げに対応し、競争の激化によってKDDIやソフトバンクも順に料金値下げに対応していくということも考えられるでしょう。

5G通信は安価に利用できるのか?

KDDIは政府の値下げ政策に伴ってか、ケータイからKDDIのスマートフォンへの変更を条件に、翌月から1年間、毎月980円から利用可能なスマホスタートプランを10月1日から開始すると発表しました。これが適用されるのは、4Gだけでなく5Gスマホも対象となるほか、auスマートバリューの適用有無にかかわらず、毎月980円から利用できるようになります。

携帯料金プランの改定を巡っては、KDDIの高橋社長は9月25日の会見で『政府や総務省からの要請を進撃に受け止めていきたい』とコメントしており、前向きに値下げに対応していく方針です。

料金の値下げについて携帯キャリアのトップが実際にコメントをしたのは、KDDIの高橋社長が初めてでしたが、29日にはNTTとの完全子会社化の取締役会でドコモ現社長の吉澤氏も触れており、『NTTと協力して値下げに対応していく方針だ』と述べました。

未だソフトバンクからのコメント等はありませんが、KDDIやドコモが積極的に値下げに対応していく方針であることから、ソフトバンクも値下げをするということはほぼ間違いないといえるでしょう。

そして、政府は『携帯料金の値下げは1割程度では意味がない、4割を目指す』としていることから、4Gと同様の料金では高額な状況が続いてしまうため、もし携帯キャリア各社が4割値下げに対応するのであれば、5G通信は現状の4Gよりも安価に利用できることになる可能性が高いです。

まとめ

現在は、格安SIMなどスマホを安価に利用できるサービスも多く出てきておりますが、格安SIMが5Gに対応するのはまだ先の話であるとされています。5Gエリアが広がっていくことで5Gスマホの利用者も増えることが予想されるわけですが、5Gスマホを利用するには携帯キャリアを大手キャリアに乗り換えなければならないということも起こりうるでしょう。

そうした場合に料金がネックになっては5Gスマホの利用者もなかなか伸びていかないわけです。そういった側面からも値下げに積極的に対応し、5Gの利用者や大手キャリアでの契約を増やしていきたい考えもあるのではないでしょうか。

いずれにせよ、携帯電話の利用料が値下げされることは多くの人々が期待していることです。今後の各キャリアのサービス展開から目が離せません。

 

 

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