【5G×自動車】コネクティッドカーの未来を覗いてみよう!

世界中で拡大が進む次世代移動通信規格「5G」。日本においても5Gの提供が開始され、自動車業界では5Gを活かした新機能の開発競争が繰り広げられています。その中でも注目が集まる機能の1つが「コネクテッドカー」です。自動車メーカーと通信事業各社が共同で実証実験を行なっており、今後の自動車業界の主流となっていくでしょう。
今回は、5Gがどのようにコネクテッドカーに関わっているのか、その役割についてご紹介ていきます。
Contents
コネクティッドカーとは
コネクティッドカーとは「ICT端末としての機能を持った自動車」のこと。車がスマートフォンのようなネットワーク通信機器の1つになるようなイメージをすると分かりやすいでしょう。車がネットワークと接続されることで、安全性と利便性の向上が見込まれています。
従来の自動車には、渋滞情報や走行ルートを知らせてくれるカーナビが搭載されています。カーナビもGPSを使ったIT技術に違いありません。コネクティッドカーでは、これまでのカーナビ性能に加え、車間距離を測定したり、信号のない道を提案してくれたり、車のメンテナンスチェックをしてくれたりとワンランク上の性能を所持しています。
コネクティッドカーはすでにトヨタから「T-Connectサービス」が実用化。Aiによる音声対話や、緊急時の通信サービス、LINEと連携しスマホからカーナビを利用できるサービスなど独自のサービスを展開しています。
コネクティッドカーに必要な技術
コネクティッドカーを普及させ安定したサービスを実現するには、24時間365日接続で、膨大なデータを一瞬で送受信できる通信技術が必要です。緊急ブレーキシステムは1秒でもシステムの起動がズレれば命とりとなるため、人間の判断速度よりも早い処理速度がなければなりません。
5Gであれば超高速・超低遅延・多数同時接続を実現可能。通信キャリアと自動車メーカーは共同研究を行い、5Gを活用したコネクティッドカーの普及に積極的です。
コネクティッドカーの実現で変わること
自動車業界の中でも注目が集まるコネクティッドカー。コネクティッドカーを利用することで私たちの車社会はより便利に安全に進化していくでしょう。
例えば緊急時の自動通報では、エアーバックが開いた時や、自動車の損壊が起きた際に自動で警察・救急に通報。自分では通報できない状況でも、警察や救急が駆けつけてくれます。また現在地に近い場所で交通事故が起きた際には、通行止めの区間をドライバーに通達し、さらに渋滞のない道を提案してくれます。
今後は自動運転も進み、無人バスや無人タクシーの普及も広がっていくでしょう。
5G通信を利用した実証実験
5G技術を活用したコネクティッドカーを開発・製造するために、大手通信事業ドコモ・KDDI・softbankは、自動車メーカーと共同研究に着手しています。各キャリアごとの5G実証実験を見てみましょう。
docomoが行った実証実験
ドコモは、トヨタ自動車、エリクソン、インテルと共同研究を行ない、5Gエリア走行中の4K映像を受信・再生に成功。車の走行中であっても連続通信に成功したことから、今後は社内で高画質な映像コンテンツを楽しめるでしょう。
さらに日産自動車との共同研究では、現実と仮想現実を融合させ、これまでドライバーに見えていなかった情報を可視化させる「Invisible-to-Vehicle(I2V)」の実用化を進めています。I2Vは、ドライバーからは見えにくいコーナーの先にある障害物や、車の死角部分の表示。ドライバーは運転時のストレスや不安を感じることなく、安心して運転できるでしょう
KDDIが行った実証実験
KDDIはノキアとの実証実験を実施。道路上にある故障車や落下物などの障害物情報を、数km圏内の範囲の車両に一斉送信できたことを確認しました。
さらに2019年にはトヨタ自動車との実証実験を実施し、5Gを利用した一般公道での無人運転を2台同時に成功。この実証実験により5G回線がコネクティッドカーの活用に有効なことが示されました
。KDDIは、5Gとコネクティッドカーの活用によって社会的課題の解決を図りたいとしており、コネクティッドカー実用化に向けた実験を積み重ねて行くと表明しています。
SoftBankが行った実証実験
ソフトバンクグループは、ボードリー(旧SBドライブ)と共にコネクティッドカーの開発に注力しています。ボードリーはシステナとの実証実験で、自動運転バスが往復3.4kmを走行したことを発表。
無人バスが実用化されれば、交通手段の少ない地方の巡回バス等に活用でき、地方創生に役立てるでしょう。
さらに本田技術研究所との共同研究では、商用レベルでのコネクティッドカー実証実験を開始。見通しの悪い交差点での車両の位置情報や、路上の落下物の特定等が行われ、走行中でも安定した通信が行えることを証明しました。
コネクティッドカーに5Gを利用するメリット
日本の通信事業者と自動車メーカーの共同研究によってコネクティッドカーの活用は今後さらに進んでいくでしょう。すでに実用化されているコネクティッドカーですが、5Gを活用することでどんなメリットがあるのでしょうか。
移動中に映像コンテンツが楽しめる
カーナビ上で音楽や地上波放送が当たり前に見られるようになっていますが、5Gが活用されたコネクティッドカーでは、走行中でもYouTubeやAmazon Primeといった動画配信サービスを楽しむことが出来ます。車の中でのエンターテイメント性が格段に向上するでしょう。
安全性がアップ
車がネットワークに接続されていれば、タイヤの空気圧やブレーキパッドのすり減り、バッテリー液の状況などをAiが自動判断。日々のメンテナンスも不要になります。タクシー業界や運送業界の安全管理に役立つこともできるでしょう。
さらに自動運転技術が進めば、夜の雨中の運転でもストレスフリーで目的地に向かえます。街中を走行する乗用車がすべてコネクティッドカーとなれば、自動緊急ブレーキやドライバーの死角を表示させる技術の活用によって、交通事故の割合は減少するでしょう。
コネクティッドカーに5Gを利用際の課題
コネクティッドカーは車両をIoT化することで、ドライバーの満足度を向上させるだけでなく、地方の過疎化問題を救済する手段の1つとなる先端技術です。早期実用化が望まれていますが、コネクティッドカーに5Gを利用する際の課題も存在しています。
ハッキングが心配
インターネットに接続する機器である以上、第三者からのネットワーク攻撃を受ける可能性は0ではありません。ハッキングを受け、勝手にハンドルやブレーキが操作されてしまえば命に関わる問題になります。各自動車メーカーは、第三者による攻撃を防ぐファイヤーウォールを構築するなど、ハッキング対策も重要になるでしょう。
デジタルに任せすぎない
コネクティッドカーが浸透することで、車の運転もますます便利になっていくはずですが、デジタルに任せすぎないという点は今後も注意したい点。スマートキーによる操作など、車の地点と所有者の地点で不自然な動きがあれば、それを察知してフォローすることも重要です。
こうした人間によるフォローも行うことで、盗難や事故のリスクも防ぐことに繋がります。
今後も人間によるアナログ作業やフォロー体制もなくしてはならないでしょう。
まとめ
コネクティッドカーは、人口減少や少子高齢化に悩む日本の社会問題を解決する大きな一手となり、自動運転や無人バスの実現はすぐそこです。
4Gが広まった際の、スマートフォンの爆発的な利用者の増加を見れば、5Gが広まった際の、コネクティッドカーの普及・定着も当然と言えるのではないでしょうか。しかし、利便性に伴うリスクは付きもの。今後は各企業のセキュリティレベルに着目し、コネクティッドカーの進化の動向を楽しみにしていきましょう。